第1回 ゴルフ練習場をやめます!
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読者の皆様、初めまして!
茨城県で練習場2店舗(水戸、ひたちなか市)を運営するウィルトラストの礒﨑博文と申します。私は2013年、27億円の多重債務を抱えるゴルフ練習場運営法人の株を取得し、事業再生に挑戦した若輩の新参者でございます。よろしくお願い申し上げます。 唐突ですが、弊社は今春、 「ゴルフ練習場」をやめます! と宣言しました。 創業は1970年、地元ゴルファーに利用されて半世紀の施設ですが、今後はゴルフの練習環境だけを提供するのではなく、 「大切な人と共に過ごす時間・空間の提供を最大の価値」 とする新業態、「ゴルフ&エンターテイメント空間ROYAL GREEN」に生まれ変わります。 私は、今こそゴルフ界にイノベーションを起こす好機だと確信しており、その第一人者として、業界変革を実現する野心を抱いております。脱・練習場宣言はそこに向けた第一歩であり、賛同者から多くの支援を頂きました。 また、金融機関から1億5000万円の融資を得、さらに地元自治体からの多大なる支援を取り付けて、今年4月、水戸市内の施設(約1万4000坪)をフルリニューアルで開業しました。 詳細は次号に譲りますが、本連載では私が考えるゴルフ業界の未来像や、地方経済の実情、リニューアル後のお客様の反応など様々な切り口で「誌上ライブ配信」をしていきます。名付けてゴルフ練習場「限界突破論」――。皆様の参考になれば幸いです。ゴルフ市場の拡大で 茨城経済に寄与したい
「3密回避」に有効なゴルフは、新型コロナの影響を受けつつ、昨年半ばから上向きになったと見られています。若者初心者の増加や休眠ゴルファーの復活もあり、特に練習場業界では昨対アップの施設が多く見受けられます。 しかし、大局的には、ゴルフ市場を牽引した戦後生まれが後期高齢者になる「2025年問題」など、すでに大きな危機が潜行しています。また、弊社が事業展開する茨城県は、都道府県別の「魅力度ランキング」で常に最下位に低迷するなど旗色が悪い。実際には梅園の名所・水戸偕楽園など魅力的なスポットも多く、県民人口は全国11位(約285万人)、平均年収も8位(約494万円)と上位の一角に数えられます。 ゴルフ市場に目を転じると、県内のゴルフ場は約120コース、練習場は約130施設で全国トップクラス。国内有数の市場規模を誇りますが、これにより「北関東」のゴルフ市場は過当競争に陥っています。 私がゴルフ市場への参入を決めたのは、まさにこのアンバランスが理由でした。 茨城県のゴルフ市場規模は大きいものの、ゴルフ業界の未来は衰退予測。そのことに加えて、県全体の観光ブランディングは非常に弱い――。同時に、ゴルフ場利用税はゴルフ場所在地の自治体に10分の7が落ちる仕組みであり、貴重な地方財源です。一連の状況を総合すれば、県を巻き込んで域内のゴルフ産業を活性化し、さらに「茨城経済の活性化」にも寄与できると考えたのです。 そこで弊社は事業目的を、ゴルフ界と茨城経済の活性化に定めました。従来の目的を再定義して、 『心から楽しむ時間・空間の提供』 となったわけです。 私たちの施設を通じて、より多くの人々が「ゴルフ」と触れ合う機会をつくり、ゴルフの楽しさを感じて頂く。ゴルフは人生の一部にすぎませんが、一人ひとりが豊かな日々を過ごすお手伝いをしたい。心からそう願い、始動したのが「ROYAL GREEN Mito」のリニューアルプロジェクトでした。弊社の基本精神は「利他主義」です。地方創成とゴルフ市場の活性化

この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2021年5月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。 月刊ゴルフ・エコノミック・ワールドについてはこちら


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