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  • 記者の怠慢、選手の無自覚

    三田村 昌鳳
    1949年2月24日神奈川県逗子市に生まれ。立正大学仏教学部を経て、週刊アサヒゴルフ副編集長ののち、1977年に独立。著書に「タイガー・ウッズ伝説の序章」「伝説創生」など。2011年春に「ブッダに学ぶゴルフの道...
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    月刊ゴルフ用品界2014年7月号掲載 なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。 最近は、電話で人と話すことがとても少なくなった。 これに代わってコミュニケーションはもっぱら、フェイスブックやライン、メールというツールになってきている。これはこれで便利なのだけれど、どうしても「人間が互いに意思・感情・思考を伝達しあう」という意味では、誤解されやすい。 身振り手振り、表情や声のトーンなどが解らないからだ。 やはり便利になればなるほど、素朴で基本的なコミュニケーションであるフェース・トゥ・フェースがなくなってくる。 ホントか嘘か解らないけれど、だいぶ前にテレビで若い夫婦が別々の部屋からメールで、離婚話をやりとりしているというケースが取り上げられていた。そんな時代になってしまったのかと、驚きとともに困惑が入り混じった。 僕たちは取材対象者と直接面談して記事を書く。トーナメントでも、記者会見やいわゆる囲み、ぶらさがりといって、選手たちから面白い話を聞く。 そのときの声のトーンや表情などを含めて、言葉の奥に潜んでいる感情や思惑を読み取るわけである。 けれども、最近のトーナメントでの記者会見や囲み取材のやりとりを聞いていると、正直、つまらない。選手たちの話も面白くないし、ボキャブラリーも少ないし、第一、口数が少ない。 昔の話をして恐縮だけれど、ジャンボ尾崎や青木功たちは、それぞれ個性があって、その話にも説得力もあったし、面白かった。 取材をする側とされる側の関係性も、昔とはずいぶんと違ってきている。選手に対して、意識的に挑発するような質問をする個性的な記者もいなくなっているし、選手たちも、会見や囲みに対して、きちんと受け答えしないケースもある。中には、インタビュー拒否という選手もいるわけである。

    ジッと待っている

    (2014年)5月下旬に全米プロシニア選手権の取材に行った。そのとき、スコアカード提出所の脇にボードがあって、その前でクイックインタビューをする場所がある。記者会見場に呼び寄せるほどでもないけれど、少し話を聞いておきたいという選手や、テレビ・ラジオ用にコメントをいち早く収録して流すメディア用に設置してある。 そこで、トム・ワトソンのインタビューがあった。そのあとにバーナード・ランガーのインタビューだった。ワトソンの話が少し長引いていたことで、ランガーは、その2メートル脇で待たされていた。そして、ランガーは、静かにじっと待っていた。 これが日本だったらどうなんだろうと、すぐに思ってしまった。おそらく待たされている選手はムッとするか、そのままクラブハウスに行ってしまう。あるいは、あとで呼んでね、と言うかも知れない。いずれにしても、きっと待たないだろうな、と思った。 海外のトーナメントと日本のトーナメント取材で、大きな違いは、このインタビューである。選手たちが、きちんと義務を果たすのが海外だ。そういうレギュレーションがある。 しかも、コメントの内容は、しっかりとしている。あとでコメントシートを斜め読みしても、決まって記事にしたくなるような話が含まれている。 コミュニケーションをとるという重要性に彼我の差がありすぎると思う。よく言われることだが、米国では小中学校の授業の中にディベートの授業があって、そこで討論のトレーニングができる。ブレーンストーミングもある。討論や対話、意見交換、意思伝達などの手法がおのずと訓練されている。 さらに、プロスポーツ選手たちは、メディアトレーニングを受けるケースが多い。そこで会見での言動や態度・服装などを細かく教わる。 日本選手に欠けているのは、その部分である。そう書くと、どうも間違った方向に行ってしまいがちなのが、実は、怖い。お笑いタレントやバラエティに出てくるような、おちゃらけや軽いノリの話に向いてしまうことが多いからだ。 プロゴルファーの資質がいま、問われている。その基本がコミュニケーションだと思うのだ。ついつい、ゴルフの上手いタレントになってしまいがち。一般のゴルフファンは、ゴルフの奥行きや幅広いゴルフゲームの真意を知りたいのだ。 メディアが選手を育てる。選手がメディアを育てる。そういう土壌が、日本では少なくなったと思う。 それにメディアの存在を選手たちは、どこまできちんと理解できているのだろうか。 「どんなに奇跡的なショットをしても、素晴らしいプレーをしても、いいゲームをしても、それを伝えてくれるメディアがいなければ、世界に伝えられない、歴史に残らない。あなた方(メディア)のタイプライターから弾き出された記事に感謝したい」 というボビー・ジョーンズの言葉は、マスターズのメディアビルの一角に額装されて飾ってある。 日本のトーナメントがつまらないのは、選手たちの言葉が足りない。それをしっかりと報せないメディア。双方の責任もあると思う。