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熱湯ぶっかけてやりたい

月刊ゴルフ用品界2015年7月号掲載
なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。

トーナメントのイベントとしての成熟度って、なんだろう、と考えさせられるトーナメントを見てしまった。

日本プロゴルフグランド・ゴールド選手権だ。この大会、テレビはもちろんネット中継もなく、速報も1日目はハーフターンのチェックのみ、最終日となる2日目に、ようやくボランティアが成績上位グループに速報係として配置された。

ギャラリースタンドは、もちろんない。ローピングも大雑把。ギャラリー整理係もほとんどいない。この側面から見れば、イベントレベルの低いトーナメントだ。まあ、1970年代前半の大会を知っている僕たち世代にとっては、懐かしさすら感じ親近感があった。取材もスコアカード提出所で待機していて、スコアのいい選手にコメントを聞くという昔ながらの風景。

この大会は、1973年から続く公式戦だ。位置づけは、日本プロ、日本プロシニアに続いて、60歳以上の選手によるグランド。そして68歳以上の選手によるゴールドの大会なのである。出場選手は、往年のプロゴルファー。僕にとっては同窓会的風景があって親しみやすかったけれど、そこには青木功、中嶋常幸と言ったスター選手は出場していない。さらに言えば、まだ50歳台の尾崎直道、井戸木鴻樹、奥田靖己なども年齢対象外だから出場していない。馴染みはあっても、花形選手ではない。

にも関わらず、2日目(最終日)のギャラリー数は、6093名。1日目が2801名で合計8894名が来場した。その2日目(同日)を比較すると、男子の日本ツアー選手権が、4956名。女子が、4859名だった。

そこで、今季の男子レギュラーツアーのギャラリー数は、どうなっているのだろうか、と調べてみた。最少人数は、関西オープンの初日で、932人。最高人数は、中日クラウンズの最終日で、1万915人。6000人を超えた日は、6試合(日本ツアー選手権まで)。24日のうち、わずか6日。

費用対効果を考えると、1トーナメントで3億~5億円かかると言われている男子トーナメントで、この人数では意味がない。もちろん、メディアを通じての報道にも効果があると思うけれど、それすら希薄になっている。

日本ゴルフツアー選手権をライブで放送したのはNHKだった。でも、夜のニュースで、たまたま僕がみたのは、星野英正のホールインワン映像だけで、成績は、上位数名が文字で表現されていて、優勝者の名前すら言わなかった。

ギャラリースタンドをしっかりとつくり、つまりフィールドの設営などは、洗練されているように施している男子ツアー。そういう意味では、トーナメント開催の成熟度は、あがってきているのだろう。

でも、その器のなかで繰り広げられる戦いや、選手のスター性、技量。同時にさまざまなイベントを付加してギャラリー対策をしているけれど、それでも、ギャラリー数が少なすぎるという現実を、どう受け止めているのだろう。

C級でもギャラリーが大挙

日本プロゴルフグランド・ゴールド選手権は、ゴルフパートナーがスポンサーになっている。未確認だけれど、あの規模ならば、億という金はかかっていない。数千万円だろうと推測する。

そして、この大会では、ギャラリーは無料、食事券付きである。仮に、その経費が、1人500~600円だとしても、1万人集まっても、500万~600万円の出費になるだけ。しかもそのチケットは、全国のゴルフパートナー店でもらえるし、インターネットからコピーして持参すればいいというものだ。

賞金総額1000万円。主催者とスポンサーには悪いけれど、いわばB級とかC級レベルのイベント規模だ。

そこで頭を抱えてしまうのだ。そういうB級とかC級レベルのイベントが、男子ツアーを凌駕するギャラリー数を集める現実。

それをどう受け止めたらいいのだろうか。結論のひとつとして、華美で派手で、高額賞金総額で、すべてのフィールドが整っていても、その器の中で演ずる(戦う)役者が伴っていないのだろう。カーネギーホールでいくらイベントをやっても、演者がレベルに達しなければ、客はこないのと同じか。

次の結論。親近感もなければ、さりとて高純度の技量と手に汗握る戦いを見せてくれない不満。それが観客離れにつながっている。しかも、主催やイベントを運営する側にも、何がしかの問題があるのだと思う。

ならば、今の日本では、B級でもC級でもいいレベルのトーナメント規模で充分という最終結論に達してしまう。

この間、フェイスブックで選手の資質、プロゴルファーとは、ということで話題になった。僕が知っている女性が、そこに書き込みしていた。彼女は、親子で年間数試合トーナメント観戦する熱心なファンである。耳を傾けてみよう。

「この前の中日クラウンズの時もある選手だったんですが、アテストが終わってクラブハウスに向かう時に私じゃないけど、ギャラリーの方達がサインや握手を求めても無視している選手はいました。

それも、タバコを持ちながら歩いていて握手を求めてもタバコ持っているからと言った選手がいたけど、右手がふさがっていても左手で握手できるじゃん、と思いました。プロに対して失礼ですが、そんなに活躍してない30歳になったかならないかぐらいのプロで何か見ていて不快な気分になったし、熱湯ぶっかけてやりたかったです。

俺はレギュラーツアーに出ているツアープロだぞとツンとした態度をしていると、大した事ないし、勝てないくせにと正直思うことはあります。これは全員じゃないですし、一生懸命に笑顔でファンサービスしてくれるプロだっていますよ。

ここ何年か観戦に行っていますが、どんなギャラリーの方達にもきちんとしていましたけど‥‥ まぁその日のスコアが思うようにいかなかったのかもしれませんね。一度でもそのような事をしたと心当たりのあるプロがいましたら、今後、気をつけて頂きたいです。

ゴルフ界全体の組織が悪い! 全体が変わらなければ、ずーっとこのままでしょう。どんどん試合は減る一方ですよ」

もちろん個人的な意見だ。でも、女性の目線でこう映るということを、まさしくゴルフ界全体は、考えないといけないのだと思う。

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ライター紹介 ライター一覧

三田村 昌鳳

三田村 昌鳳

1949年2月24日神奈川県逗子市に生まれ。立正大学仏教学部を経て、週刊アサヒゴルフ副編集長ののち、1977年に独立。著書に「タイガー・ウッズ伝説の序章」「伝説創生」など。2011年春に「ブッダに学ぶゴルフの道」(中央公論新社)を発売。日本プロゴルフ殿堂表彰選考委員。日本ゴルフ協会オフィシャルライター。日蓮宗の僧侶。

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