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日本のゴルフを外国人はどう見る?

月刊ゴルフ用品界2018年8月号掲載

9月28日から10月6日まで、「第1回日本ゴルフツーリズムコンベンション」が三重県を中心に開催される。欧・米・豪などから旅行社など60社が来日。3日間のコンベンションを挟んで前後3日間、ゴルフ場や伊勢神宮などを回る日程が組まれた。「日本のゴルフ文化」は彼らの目にどう映るのか。オガワとジャックの想定問答集を作ってみた。

【第1幕・フロント】

オガワ ジャケット着てきましたか?
ジャック ハイ、着てきました。
オガワ ショートパンツなのか、ハイソックスがいるんだよ。
ジャック ハイソックス?それ、なんですか?
オガワ ん?これ和製英語か?ニーソックスだよ。
ジャック オー!ニーソックスね。売ってますか?

×   ×   ×

フロントで受付をしたら、ゆったりとしたロッカールームで身支度を整え、朝食を取る。ショートパンツをはくなら、ハイソックスは必ず履きましょう。

ちなみに私の先輩は、1番ティーまでジャケットを着てきて皆をビックリさせてました。まあいいでしょう。オールド・トム・モリスもジャケット着てプレーしてたんですから。

ハイソックスを履いて「川口探検隊を思い出す」などと言ってはいけません。ニッカボッカーを履いていたスコットランド人たちが南方でゴルフをするうち、暑さにまけてバミューダと防虫用の長いソックスに分離させたという説もある。

いずれにせよ、これも静岡に始まったと一部に言われる、独自の日本文化だ。

【第2幕・茶店】

オガワ キャディーさんにはチップをあげるんだ。1000円ぐらいがいいね。
ジャック おー!そうですか。アメリカではいろんなところでチップがいりますよ。バレットパーキングとかベッドメイクとか
オガワ 日本で必要なのは、ここぐらいのもんだ。温泉宿の仲居さんにも最近あげないもんなぁ。

×   ×   ×

キャディーにチップは当然だ。林に入ったボールは、しっかり見つけてもらいたい。売店で飲み物やお土産も用意しよう。ちなみに関東7倶楽部には伝統があり、Aというコースは4人で回っていたら4本のビールをキャディーに贈呈する。Bでは4人のうち1人が1本を負担、Cというコースは1本を4人で割るということが分かった。

コース改造中は関東7倶楽部に属する他のコースが受け入れ先となったため、明らかになった慣習だ。これも他の国にはなかなかない。

【第3幕・昼食時のクラブハウス】

ジャック お昼からビール!いいですね。
オガワ ボトルもキープしてあるよ。そのおつまみのワゴンから枝豆やキムチをチョイスしていいよ。
ジャック すごい。昼食のメニューも豪華ですね。まだ1時間半もあるのですか?飲んで食べて、サイコーですね。もう、このまま飲んでいたくなりましたよ~。
オガワ そうだな~。グラスが2個に見えてきたよ。これだと10番のティーショットはボールが3つに見えそうだ。

×   ×   ×

豪華な食事と長いインターバル。飲みたければいくらでも飲めるのもいいところ。だが午後イチのティーショットがどこに行くかは保証できない。ちなみに私のサラリーマン時代からの先輩は朝から飲んでいた。

【第4幕・夕方のラウンジ】

オガワ どうだった?お風呂も温泉みたいで良かったろ?
ジャック 日本のお風呂、最高ですね。でも、みんなで裸、ちょっと恥ずかしかった。まだ飲むんですか?
オガワ ワインやスコッチで1日を振り返るのも伝統だ。

×   ×   ×

グラスを傾けながら、彼らに日本のゴルフ史をレクチャーしよう。サイトやSNSに厚みのある記事をポストしてもらうためには、今も名残を残す「バブル経済」という歴史背景も伝えておく必要がある。

【第5幕・さらにラウンジ】

オガワ 日本のゴルフ史は117年前、1901年、4ホールができた神戸GCに始まるんだ。
ジャック そうですか。アメリカは1888年にニューヨークのヨンカーズに3ホールできたといわれています。13年早いね。
オガワ もっと後のことだけど、ある時期から日本のゴルフ場は会員権証書を刷って、預託金で建築資金を作ったんだ。年会費と名変料もゴルフ場の収入。会員権は金融資産となり、1億円越えの値をつける「億カン」が続出する。時を同じくして不動産バブルも起こった。
ジャック 知ってマース。ペブルビーチとか。インディアン・ウエルスとかを、日本の企業が買ってましたね。エンパイヤステートビルもそうじゃなかった?
オガワ そうそう。トップの小金井CCは400万ドルをこえたよ。でもバブルが弾けて35万ドルまで暴落した。
ジャック オー!それも知ってます。そのあと、アメリカの証券会社ゴールドマン・サックスと、投資ファンドのローンスターが日本のゴルフ場をたくさん買いました。立場、逆転ですね!
オガワ でもそのおかげでプレーフィーは安くなり乗用カートのセルフプレーもすっかり定着した。今やネットで手軽にプレーの予約が取れる。メンバーの特典だった「おひとり様予約」も、そのネット予約の目玉になりつつあるんだよ。
ジャック アメリカのようなゴルフ場もあるんだね。
オガワ 「スループレー、フェアウエー乗り入れ、ドレスコードなし」というコースもある。東は「ベルビュー長尾」や「KOSHIGAYA GOLFCLUB」。西なら「吉川インターゴルフ倶楽部MECHA」あたりにはぜひ行ってもらいたい。
ジャック イエス!ぜひ行きましょう!

【解説】

ちょっぴり皮肉をちりばめたつもりだが、お分かりいただけただろうか。普段は当たり前のように送っている日常が、他国の人々から見れば相当変わっている、ということは確かにある。

日本のキャディーの服装に関しては、米ツアーの人気者、パティ・シーハンが変装し、仲間から爆笑を取っていたことでも明らかだ。

またスループレーに背を向け、昼食を豪華にして収入を上げる手法もいかにも日本らしい。かつての「接待ゴルフ」は高級コースに厳然として残っている。

そうした日本のゴルフ文化が、来日した人々の目にどう映るのか。その問題点とともに日本ならではの魅力もまた、明らかになるに違いない。

小川朗の目

日本初開催となるゴルフツーリズムコンベンションの誘致に成功したのは三重県。国際ゴルフオペレーター協会(IAGTO)が主催し、今回は世界から旅行会社など約60社が訪れる
▼商談会やセミナーなどを通じて日本をPRすることが最大の目標となる。三重県の68のゴルフ場と伊勢神宮などの観光資源ももちろん売り込みたいところだ
▼もう一つ、彼らにPRしたいのがゴルフ場利用税の存在だろう。平成元年(1989)に消費税が導入された際に、娯楽施設利用税と物品税が廃止され、パチンコとボウリングは対象外になった
▼だがゴルファーだけは「担税力がある」と金持ち扱いされ「ゴルフ場利用税」と名を変えて払わされることとなった。ゴルフだけを狙い撃ちにした不公平な税金は世界に類を見ない
▼だからこそ、この「ゴルフ場利用税」の理不尽さを訴え、世界に発信する絶好の機会なのだ。にもかかわらず、日本ゴルフ協会は今回後援にも入っていない。何とも、もったいない話だ。

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小川 朗

小川 朗

1960年山梨県甲府市生まれ。甲府一高→日大芸術卒。82年東スポ入社。「世界一速いゴルフ速報」の海外特派員として男女のメジャー大会など通算300試合以上を取材。同社で運動部長、文化部長、広告局長を歴任後今年9月に退社。

フリージャーナリストとして本誌を始め、週刊誌、ニュースサイトなど各方面に執筆中。㈱清流舎代表取締役COO。東京運動記者クラブ会友。日本ゴルフジャーナリスト協会副会長。

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