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ZOZO CHAMPIONSHIPに続き、女子プロ新設トーナメント誕生の衝撃

小川朗の現場を照らす 小川朗

ZOZO CHAMPIONSHIPの開催が好意的に報じられている中、意外に注目されていないのが日本選手には50%の賞金が加算されること。

高額大会だけに、優勝でもしようものなら、この大会で獲得した賞金だけで賞金王となる可能性もある。

一方、6月のリランキング後に、衝撃的な女子プロのトーナメントが誕生することが明らかになった。出場資格は33歳以上100歳までの女子プロゴルファー。若手中心のLPGAツアーの問題点を世に問う大会になりそうだ。

賞金王はホームラン王

賞金王。米ツアーでは「リーディング・マネー・ウイナー」と呼ばれる。スーパースターであるパーマーの名を冠し「アーノルド・パーマー・アワード」と呼ばれる重みのあるタイトルだ。

試合ごとに賞金額にはバラツキがあるため、むしろバードン・トロフィー(米男子)やベア・トロフィー(米女子)のような、平均ストローク第1位の方が、実力評価のものさしとしては正しい、という主張が一部にある。

だがゴルファーには「ハスラー」と呼ばれる賞金稼ぎの一面もある。賞金王がもてはやされる背景には、とんでもない額が1打にかかり、その重圧をはねのける強さも要求されるからだろう。

JGTO(日本ゴルフツアー機構)の青木功会長は、日本の賞金王に過去5回輝いているが、絶頂期の頃、よくこんな解説をしていた。「もちろん賞金にはバラツキはあるが、高いレベルで安定した平均ストロークをマークしていれば、相応に賞金額も増えて来るもんだよ」。

当時青木は日・米・欧・豪と飛び回りながら好成績をマークし続けるという、ある種超人のような生活をしていた。日本では尾崎将司、中嶋常幸を加えたAONが活躍しており、賞金王争いはシーズンを通しての関心事となっていた。

野球でいえば賞金王はホームラン王、平均ストローク第1位は首位打者ということになりそうだが、ゴルフの場合平均ストローク第1位の評価が、野球の世界ほどには高くない。

いずれにせよ、プロゴルフの世界では長い間賞金王という地位がそれなりの威厳を持ってきた。1987年にアメリカ女子ツアーの賞金女王となった岡本綾子に対する評価が高いのもその証明だろう。

しかしその評価が、今年の日本男子ツアーでは何の意味も持たなくなるかもしれない。今年の10月24日から4日間、千葉・習志野カントリークラブで開催される米国のPGAツアーの大会である「ZOZO CHAMPIONSHIP」の賞金が桁外れであるからだ。

ZOZOの1勝だけで賞金王?

主催者発表によると、賞金総額は975万ドル(約11億円)。

優勝賞金は18%で、2位から10.8、6.8、4.8、4%と配分されていく。優勝すれば19万8000ドル(約2億2374万円)が転がり込む。2位でも10万5300ドルだから、1億530万円が用意されている。

昨年、日本の賞金王に輝いた今平周吾の獲得賞金は1億3911万円あまり。2位のショーン・ノリス(南ア)で1億394万円となっている。

ZOZOの大会には10人のJGTO枠が与えられており、賞金額の50%が国内のランキングに加算されることが決まっている。優勝すれば、これ1発で1億1187万円が加算される。

大西久光

昨年までJGTOの副会長を務めていた大西久光氏が、問題点を指摘する。「意外に関係者間で問題になっていないのが、この大会(ZOZO CHAMPIONSHIP)に優勝しただけで、賞金王になってしまうことが数字上ではありうることです。

そうなると他のトーナメントスポンサーにとっては、高額賞金を負担している意味そのものが、非常に軽いものになってしまう」

昨年の国内最高額はISPSハンダマッチプレー選手権で2億3000万円、優勝賞金は半分の5200万円。しかもこの大会は今年行われないことが決まってしまった。ナショナルオープン、日本オープンを始めとする2億円大会の存在もかすむ。

これは明らかにマイナス要素だろう。そもそも10人しか出られない試合を加算すべきなのかどうか。という議論も当然ある。

女子プロ界に画期的な新設大会

JGTOの不手際から、今季予定していた3試合をキャンセルしたISPS会長半田晴久氏が、仰天プランを実行に移す。7月上旬、賞金総額3000万円の女子プロゴルフトーナメントを開催する。

「6月のリランキングの後に、開催する予定です。30歳以上で試合に出られないプロがたくさんいますので、そうした選手たちのために。賞金額は、ステップアップツアーの最高額に合わせました」(半田氏)。

出場資格者は33歳以上100歳までと幅広い。女子には下部ツアーとして「ステップアップツアー」があり、45歳以上の選手には「レジェンズツアー」があるが、この2つだけでレギュラーに出られない選手に出場の場を提供できているとは言い難い。

本来は日本女子プロゴルフ協会(LPGA)が考えるべきことだが、選手たちと協会上層部の距離が離れていることは多くの関係者が認めるところ。一昨年から放映権の問題で協会とテレビ局との対立が露見しているが「説明がない」と多くの選手が不満をもらしている。

LPGAが、試合への出場機会が少ない選手たちの受け皿すら用意できない現実を見るに見かねて、半田氏が乗り出した格好だ。

2020年東京五輪の前年。日本プロゴルフ界の問題点が一気に吹きだし、大改革へと向かう動きが加速している。


この記事は弊誌月刊ゴルフ用品界(GEW)2019年3月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。

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小川朗

小川朗

1960年山梨県甲府市生まれ。甲府一高→日大芸術卒。82年東スポ入社。「世界一速いゴルフ速報」の海外特派員として男女のメジャー大会など通算300試合以上を取材。同社で運動部長、文化部長、広告局長を歴任後今年9月に退社。

フリージャーナリストとして本誌を始め、週刊誌、ニュースサイトなど各方面に執筆中。㈱清流舎代表取締役COO。東京運動記者クラブ会友。日本ゴルフジャーナリスト協会副会長。

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