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現役大学生がズバズバ指摘した「日本のゴルフのダメなところ」

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現役大学生がズバズバ指摘した 「日本のゴルフのダメなところ」

「JAPAN GOLF FAIR2019」(パシフィコ横浜)の2日目(3月23日)に、「現役大学生による『ゴルフ座談会』」が開催された。

主催は大学の体育授業へ積極的にゴルフを導入、コースデビューへと導く「Gちゃれ」などを展開している「一般社団法人大学ゴルフ授業研究会」。18人の現役大学生が本音で語る座談会は、現在の日本のゴルフが抱える様々な問題を浮き彫りにした。

壇上にずらりと顔を揃えたのは、慶応、法政、武蔵野美術などの現役大学生たち。そのネームプレートの右下には緑、青、赤のマル印が付けられていた。

この3色はまったくゴルフに触れたことのないグループ(赤)、体育でゴルフ授業を履修しているグループ(青)、体育会系ゴルフ部などでどっぷりゴルフをしているグループ(緑)が一目で分かるようにしたものだった。

現役大学生がズバズバ指摘した 「日本のゴルフのダメなところ」

ゴルフをしない若者たちの目に、日本のゴルフとはどのように映っているのか

法政大のS君(赤色)は率直にこう語った。

「僕の中でのゴルフは、道具に依存性が高く、その値段も高そうで、お金がかかるスポーツ。2番目に(ゴルフ場が遠くて)その場所まで行かなきゃいけない。3番目に大人の男性、お父さんの世代のスポーツで、自分とは距離がある」

道具にも交通費も、プレー代にもお金がかかり、身近には感じられないスポーツであるということだろう。

慶応大のKさん(赤色)は交通の便がネックだと指摘した。

「中学、高校とハイキング部で山登りは好きです。ゴルフも自然の中でできるけど、どうしても車が必要になるじゃないですか。それで友達と行こう、とはならないですね」

家業がゴルフ練習場であり、3歳からゴルフを始めながら、すでにやめてしまったという法政大のMさん(赤色)のケースは、ゴルフ業界にはもっと深刻と言えるかもしれない。

「最初、3歳の時に親が小さなクラブを作ってくれて10年くらいやったのですが、結局好きになれずやめてしまいました。おじさんたちから優しくされて『将来の宮里藍ちゃんだね』なんてほめられるのは好きなんですが、妹が上達して、比べられるようになったんです。それがイヤで、やめちゃいました。私は一人で練習するのが好きだったので」

日本の練習場の問題点としてよく指摘されるのが、教え魔の存在。

筆者は仕事柄、著名人のゴルフ人生を伺う機会が多いが、その多くが打ちっ放しの練習場を頻繁に変えている。

あるタレントは「教え魔につかまり、その練習場のヒエラルキーの中に組み込まれるのがイヤで、しばらくすると新しい練習場に移った」と告白しているほどだ。

「被害者」は有名人に限らない。一人で練習したいのに、雑音が多すぎてゴルフを辞めた、というケースはMさんの例を挙げるまでもなく多い。

経験者たちは問題点をズバリ指摘

海外でのゴルフを経験している慶大生、Wさん(青色)の指摘は痛烈だ。

「両親がゴルフをやっていて、近所のスポーツセンターでキッズスクールがあったので、そこに1年間通って基本を学びました。でも、日本ではゴルフ場に行くのに、都心からだと2時間くらいかかる。海外ではダウンタウンから20分もあればゴルフ場に着きますし、スループレーの折り返しで食べるハンバーガーがおいしい」

ゴルフ場まで2時間もかかる不便な日本と、20分で行ける海外のゴルフ場。絶望的に過ぎる環境の差を、Wさんは知っている。

東工大のHさん(緑色)は高校の時に父親に練習場に連れて行ってもらい、ゴルフを始めた。大学ではゴルフ部に入部している。

「ラウンドは月2回くらい。18ホールで8,000円程度の安い所を探してプレーします。それでも交通費は往復2,000円かかります。引っ越しのアルバイトで朝から夕方までやって、1日1万円のバイト代が飛んでしまいますね。合宿も1回4万円かかるので、年間50万円は必要だと思います」

一橋大のY君(青色)は親頼み。「年3回の合宿と合わせて30~40万円はかかります。親に将来返します、と言って借ります」

ゴルフのファッションについて

もうひとつ、問題となっているのが、ゴルフファッションのイケてないところ。武蔵野美大のHさん(青色)はグローブのデザインに不満をため込んでいた。

「グローブのデザインが謎です。指の所にタイツの網目みたいのが入っていたりして、ビミョーだな、とよく思います。レディースものは買い替える時も白とか、黒とか、柄もほとんどない。デパートでも紳士服コーナーの横にある、というのもどうかなと思います。ゴルフに1回くればハマる人が多いと思うので、ファッションは大事だと思います」と語った。

シャツをパンツに「インする」ドレスコードにも抵抗感は強い。

「ゴルフ自体は好きなんですけどそれ(ドレスコードというルール)があるのが一番おっくうなので、シャツだけでも出せるようになれば、もっと行きやすくなると思います」

つまりは、カジュアルではなく、コストも高く、ファッション的にも問題があるため、ハードルを越える気が起こらないのが現実。ドレスコードを思い切って緩くした吉川インターMECHA(兵庫)やベルビュー長尾(静岡)のようなゴルフ場がどんどん出て来ない限り、若者たちはなかなかその気にならない。

法政大学のSさん(赤色)は、今後もゴルフをするつもりはないという。もしゴルフに使うお金があったら何に使うか、という問いには、こう答えた。

「やっぱり、旅行ですね。旅行が好きなんで」。ほとんどの大学生たちは、使うべき月々の予算が決まっている。スマホは絶対に手放せないし、好きな遊びも多様化している。「ゴルフ」のライバルは数多い。ゴルフを身近な存在にするには、初心者にまずクラブを握ってもらう努力をすることが大事だろう。

打開策は、あるのか。「野球のバッティングセンターのようなものがゴルフにもあれば」(慶応大・S君=赤色)という発言は印象に残った。「ゴルフ場は遠い」ということがハードルになっているという声も多く聞かれたからだ。

打ちっ放しの練習場は相続税の問題で都市部から姿を消す一方。それを埋める代役は、今のところシミュレーションゴルフしかなさそうだ。


この記事は弊誌月刊ゴルフ用品界(GEW)2019年5月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。

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小川朗

小川朗

1960年山梨県甲府市生まれ。甲府一高→日大芸術卒。82年東スポ入社。「世界一速いゴルフ速報」の海外特派員として男女のメジャー大会など通算300試合以上を取材。同社で運動部長、文化部長、広告局長を歴任後今年9月に退社。

フリージャーナリストとして本誌を始め、週刊誌、ニュースサイトなど各方面に執筆中。㈱清流舎代表取締役COO。東京運動記者クラブ会友。日本ゴルフジャーナリスト協会副会長。

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