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  • ゴルフスタジアム問題。何故プロたちは騙されたのか~甘い自覚と厳しい現実~

    小川朗
    山梨県甲府市生まれ。甲府一高→日大芸術卒。82年東スポ入社。「世界一速いゴルフ速報」の海外特派員として男女のメジャー大会など通算300試合以上を取材。同社で運動部長、文化部長、広告局長を歴任後独立。フリージャー...
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    月刊ゴルフ用品界2017年5月号掲載 なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。
    「ゴルフスタジアム騒動」で生まれた1000人超、40億円規模と言われる被害者たち。 彼らは何故、騙されたのか。現場を照らしてみると、見えてくるのは金銭の扱いに対する「甘い自覚」と、ゴルフがうまいというだけでは成り立たない「厳しい現実」だった。

    「実質無料」の甘い罠

    男子プロは? 3月27日午前10時。東京・霞ヶ関の参議院議員会館の会議室に西村國彦弁護士を伴って現れた3人のレッスンプロの顔は、明らかに青ざめていた。 無理もない。3人ともが社会的信用の危機と、背負うには重すぎるローン返済に直面していたからだ。 Aプロの被害額は1000万円を超えていた。まず2014年に436万円と手数料82万5000円、さらに2016年に592万円と手数料134万円のローンを組まされていた。 最初はホームページ(以下HP)の制作から話は始まっている。「制作費は30万かかっちゃうけど、バナー代で月8万円入りますよ。だからジャックスさんでリース契約をしてください、という勧誘でした」(Aプロ)。 プロゴルファーはパソコンに強くない人種が多い。このプロもHPを使って顧客を増やし、営業の幅を広げたいがどうしたらいいか分からない、といった悩みを抱えていた。 実際のところHPを作れば制作費だけでなく保守や更新などにも金がかかる。ハードルが高いため、あきらめているプロが多かった。 ゴルフスタジアムの営業担当者は、そうした弱みを巧みに突いた。制作費というイニシャルコストと保守・運営費のランニングコストは、バナー代という広告収入でまかなえる、という裏技をささやいた。 いざ契約の段になると「実体のないものにお金は出せないので、ソフトを購入してください」と持ちかけられる。いかに広告費でタダになるとはいえ、ここでほとんどのレッスンプロが躊躇する。高額のローンを組まされることになるからだ。 そもそも、安定収入のないレッスンプロたちは、車のローンすら組めない。ところがゴルフスタジアムの営業マンは「大丈夫です」と自信たっぷり。実際、ソフト購入の契約を結ぶとローン審査はアッサリ通った。 広告費も毎月振り込まれ、ローンの返済金はまかなわれた。ソフトとは「モーションアナライザー」という解析ソフトだが、プロたちはほとんどこれを使っていない。使うためにはカメラが2台必要で、別途購入するための設備費がかかるからだ。 埃をかぶっているのはまだましな方で、封すら切っていないレッスンプロも多い。ソフトはあくまでローンを組むための「道具」であって、HPさえ運用されていれば満足、という現実を証明している。 しかもこのソフト「有効期限が2か月しかないんです。そんなものを誰が買いますか? 営業マンはそういう肝心なところを説明していない」(Dプロ)と憤る。 ここで誰もが疑問に思うのは、もし広告費が止まったらどうなるのか、という不安をなぜ感じなかったかということだ。Bプロがこの辺りの事情を明かす。 「実はPGA(日本プロゴルフ協会)のインストラクター講習を受けた時に、講師としてゴルフスタジアムの人が来て、業務内容の説明なんかをやってるんです。バックにPGAが付いているんだから、大丈夫だと思うでしょ?」とため息をつく。

    練習場も深く関与

    練習場は? レッスンプロ個人だけでなく、職場である練習場もゴルフスタジアムと深く関わっていることも、判断を誤らせる要因となっている。 「ロッテ葛西とか、全国の練習場が採用していて、伊沢利光や江連忠のゴルフスクールも関わっているとなれば、信用しちゃうじゃないですか」。 しかもゴルフスタジアムの旗艦店である「e-golf stadium 大崎」(東京都品川区)所属プロにもPGAのインストラクター資格を持つものがA級2人、B級2人の計4人もいた。同じ組織の仲間がゴルフスタジアムとすでに深く関係していることも、不安を取り除く要因にはなった。 前出のAプロは組織や仲間のしがらみも理由の一つだと明かした。「静岡県のゴルフ練習場協会やプロゴルファー会のホームページも作っている。先輩から紹介されれば、断れない雰囲気もある」と義理人情もからむ苦しい胸の内も明かしている。

    女子プロ協会は「自己責任」

    女子プロは? 被害者の会でも積極的に情報発信し、団結を求めている女子プロもいるというから、かなりの数に達するはず。女子プロのインストラクター部門にも「e-golf stadium 大崎」の所属プロが2人いる。そんな状況でありながら、日本女子プロゴルフ協会(LPGA)からは、危機感がいま一つ感じられないのだ。 冒頭のようにすでに3月27日には西村弁護士や被害者たちがゴルフ改革会議で事態の深刻度を訴え、これをマスコミ各社が報じていた。しかしLPGAが動いたのはそれから9日後の4月5日。事務局が注意喚起のメールを送ったのだが、発信元を明記していないうえに企業名も明かしていない大チョンボを犯している。 それに気づいた事務局はさらに翌6日、メールを再送する。このメールにも相変わらず企業名が入っておらず、関係していないプロには理解できない内容のままだった。 しかも気になるのは最後の一文。「このような契約トラブルは、会員個人の責任となりますので、十分にご注意ください」と突き放したかのような言葉で締めくくっている。 ある女子プロはこう憤る。「協会は関わっていないことを強調して自らを守ろうとしているだけです」。 工房は? 都内のビジネス街でゴルフ工房を営むCさんは、スイング解析ソフトの存在すら忘れていた様子。「どこだっけな…。あ、あそこだ」と指さした先は本棚の最上部。脚立が必要な天井から10cm下の所に無造作に置かれ、封も切られないまま埃をかぶっていた。 取材もHPの運営費と、掲載料の話に終始した。「最初はゴルフスタジアムの広告を載せるから、その掲載料が振り込まれるという話だった。確か『ゴルフ三昧』とかの」。 それも無理はない。そもそも工房の中はクラブや工具などが並べられ、スイングする場所がない。クラブ作りやチューニングする客がほとんどで、スイングを解析する必要もない仕事だから「根本的にソフトなんかいらないんだもの」。 そんなことは営業マンが工房に足を踏み入れた時点で分かったはず。必要のないソフトを置いていくことで、かなり悪質な感じを受ける。 「こんなことに騙されるなんてアホだと思うだろうけど、何とか被害者の側に立って記事書いてよ」。 その顔には怒りと情けなさが入り混じった、複雑な表情が浮かんでいた。

    小川朗の目

    この事件の噂が一気に広がったのは3月24日、ゴルフフェアの行われていたパシフィコ横浜の会場だった。ゴルフ業界の関係者が一堂に会するこのイベントとあって、あちこちで深刻な表情で話し合う関係者の姿が見られた。 4日後に参議院議員会館で行われる「ゴルフ改革会議」で西村國彦弁護士ら被害者が情報発信することも決まり、27日には連絡を受けた報道各社が取材。大阪でこの問題を追っていた大手メディアも上京した。 この問題が全国的な規模で広がっていたことを実感させられた。 30日、ゴルフスタジアムの本社(東京・港区)で堀新社長は、直撃取材に応え、この問題について真摯に対応することを確約している。 一方、会員たちはすでにローン残債の全額免除に向かって団結しつつある。 読者も被害者たちが何故簡単に引っかかってしまったのか、疑問に思う方も多いだろう。しかし「プロゴルファーはローンを組めない人種。お金を貸してくれて返済にもいい方法があると言われれば借りるのが当たり前」という某プロゴルファーの指摘も、一理あるのかも知れない。
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