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  • 苦闘7年、イップスとの闘い

    塩田正
    昭和7年、千葉県生まれ。昭和31年東京教育大学(現筑波大学)体育学部卒業。体育心理学専攻。同年(株)ベースボールマガジン社入社。ゴルフマガジン誌編集長を経て独立。会社役員、短大講師を兼ねながらゴルフライターとし...
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    悲劇は7年前に起きた。塩ジイが所属クラブのグランドシニア選手権で3度目の優勝を遂げた直後のことである。2週間にわたる36ホールズ競技で77、76という自分でもびっくりするような好スコアでの勝利だった。 信じられないような出来事に塩ジイは年甲斐もなく舞い上がってしまったのか、次への飛躍のためにある計画を思いついたのである。年老いて飛距離の落ちるのを見込んで、ショートゲームにいっそうの磨きをかけるのが骨子だった。 各クラブの飛距離が落ちてくると、どうしてもパーオンの確率が少なくなり、グリーンサイドからのアプローチに比重がかかるはずと読んでの発想である。 そこでどうしたかというと、近くの練習場の打ち放題の日に毎日千発ずつ7日間、ショートアプローチだけに限って打つという案だった。80歳(当時)に近い老ゴルファーにとっては、過酷ともとれるプランだったが、そのときはなんとなく「今やらなければ、時期を逸する」という追い込まれた心境にあったような気がする。 だが、良かれと思って採り入れた集中練習だが、意外にもこれがアダとなって、逆に大変な病気を抱え込んでしまったのだ。「同じ練習を単調に長時間繰り返すとイップスになりやすい」というアメリカ雑誌に載った警告の通りになってしまったのである。 最初の2、3年はピンに半分以上は寄っていたのだが、それから年を追うごとにアプローチの確率が悪くなっていった。5年後くらいからは成功率が10%以下だったと思う。 昔、まともなアプローチショットをしていた頃、「もしイップスになっても口外するな」という一文をアメリカのゴルフ雑誌で読んだことがあった。 実戦での成功率が10%くらいになったとき「イップスに違いない」と感じたが「オレはイップス」と認めてしまうと、本当の“病気”になって、回復に手間取るという記事を目にしており、絶対に口に出すまいと誓った。

    柔らかい目で見る

    イップスを意識してから、自分ではありとあらゆる打ち方を試したと思っている。例えば練習場でアプローチだけ千発打ったこともあった。そのうちの300発は右手だけで手首を固定してショットし、つぎに同様に手首を使わずに両手で300発を打った。そして、残りの400発は両目をつむって打ってみたりした。 厳しい課題の下で練習を重ねたのだが、練習に限っては、いつもうまく打てていた。このときもかなりの確率で芯を捉えて打つことができた。これで実戦でも上手くいくだろうと期待してコースに出たのだが、結果はいつものようにダフリ、トップ、それに2度打ちの3点盛りだった。 ここまでくると仲間も「なんで」とか「信じられない」という表情で塩ジイを見るようになった。そのたびにイップスであることを白状しようかと思ったが、なんとか耐え続けてきた。だが、歳のせいにしてはいけないが、とうとう根負けして80歳を過ぎてから、イップスであることを友人に告白した。 塩ジイは後悔した。その日からぐっと気持ちが楽になった。しかし気持ちは晴れてもコースでは依然として3点盛りのオンパレードだ。 イップスだといっていなかったら、今に見ていろ、こんな打ち方なんかすぐに治してやると意気込んだはずだが、それを口に出してからは、そんな気力なんかどこかへ吹き飛んでしまったように感じた。 ゴルフをしていても「早く失敗して楽になろう」とか「同伴競技者が見ていないうちに打ってしまおう」とか、姑息な手を用いるようになった。 このような状態が何ヶ月か続いた後、ふと我に返った。告白はしたが、もう一度イップス解消への挑戦をしてみようという気になった。たまたま古いアメリカの「ゴルフマガジン誌」に載っていたT・J・トマシ博士の「イップス撃退、7つの方法」という記事を読んだのがきっかけだった。 7つの項目の中で塩ジイの目にとまったのは、パッティングのイップスについての練習法であるが、その中の「ストローク中、顔をボールに向けたままにしない」というのに釘付けになった。 「パットしているときは、知らないうちに頭はわずかながらも動いている。ところが、イップスになると頭の自然な動きが押さえつけられてしまう。練習法としてはパッティングのスタンスをとったらわずかに顔を上げ、カップよりも遠くに視線を送る。 このときは睨むような目で見るのではなく、柔らかい目で見ること。これができたら、視線をカップに戻し、ジョーダン・スピースのようにボールを見ないでストロークする」 塩ジイの場合はパッティングというところをアプローチショットに置き変えればいいだけである。 昔、読売巨人軍の主戦投手H選手がスランプになったとき、順天堂大学の太田哲男教授(スポーツ心理学=故人)が「キャッチャーミットを睨みつけるような投球はやめて、薄眼を開けてやんわり見て投げなさい」と進言した。それでH選手のスランプが止んだ。今思うと凝視と柔らかい目という点ではよく似た話ではある。 スピースもボールを見て打っているというよりは、カップを見ながらストロークしている感じだ。腕前は天地の差だが、キャリアという点では塩ジイの方が勝っている。落下点だけを見て打てないはずがない。これでイップスが治れば、もう何もいうことはない。
    この記事は弊誌月刊ゴルフ用品界2017年12月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。 月刊ゴルフ用品界についてはこちら
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