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明らかに変わった米プロのクラブセッティング

エイジシュート21回の塩じいが語る 塩田正
明らかに変わった米プロのクラブセッティング

2005年、ベイヒル・クラブ&ロッジのアーノルド・パーマーのロッカーには、ウッド4本、アイアン10本、使い古したパターが入ったバッグが置かれていた。

76歳を迎えていたパーマーは、すでにツアーを退いていたが、その頃使っていた彼のゴルフバッグの中身が、同年の米ゴルフダイジェスト誌に紹介されている。

それによるとウッドはドライバー、3番ウッド、5番ウッド、7番ウッドの4本。アイアンが2番〜9番までで8本。それにウエッジがPWとSWの2本にパターという内容である。

また同誌によると「私はパターを含めて1万本のクラブを自宅とベイヒルの別荘に置いてある」といっている。おそらく彼のプロ生活の中で使ったクラブ、あるいはテストしたクラブに違いないが、何れにしても、前記15本のクラブは、進化する1万本の中からさらに精選されたエキスみたいな代物だったのではないか。

保存された1万本の数もすごいが、76歳にしての彼の飛距離(下記)にも驚かされる。

  • 1W(10°)250ヤード
  • 3W(16°)220ヤード
  • 5W(18°)210ヤード
  • 7W(20°)195ヤード
  • 2I(18°)195ヤード
  • 3I(21°)185ヤード
  • 4I(24°)175ヤード
  • 5I(27°)165ヤード
  • 6I(30°)155ヤード
  • 7I(34°)145ヤード
  • 8I(38°)135ヤード
  • 9I(42°)125ヤード
  • PW(46°)110ヤード
  • SW(56°)95ヤード

(米ゴルフダイジェスト誌)

という資料がそれだ。

5W、7Wまで入れたパーマーのセット

2005年以前、パーマーがどんなセットを組んでいたかは、資料がないのでなんともいえないが、推測すれば前記番手の中から、5番、7番ウッドが消えて、4番ウッドと1番アイアンが入っていたのではないかと思われる。

なぜなら小さい頃から父親に「力一杯打て!」といわれて育ってきたパーマーの性格にもよるが、パーマーがプロになりたての1950年代から1960年代にかけては、5番ウッド以下のウッドクラブがほとんど世に出ていなかったことも理由の一つである。

その後、5番ウッドは、クリークと呼ばれ、ドライバー、スプーン、バッフィというセットから外れ、7番ウッドとともにハイブリッド風に扱われていた時代があった。

パーマーはアイアンセットでも当時、メーカーのスタン・トンプソン、マクレガー・ミュアフィールド、テーラー・テクニシャンがユーテリティアイアンとして、売り出していた1番アイアンも当然バッグに入れていたと考えられる。

ところが76歳とはいえ、ハードヒットを常に標榜し続けたパーマーが、5番ウッドだけではなく、7番ウッドまでもバッグに忍ばせていたとは、最初は信じられない思いだった。

パーマーはその理由を「5番、7番ウッドは1、2番アイアンよりも打ちやすく、ボールも高く上がる」と説明する。前記のようにパーマーのバッグにはパターを入れて15本のクラブが入っていたが、コースに出るときには、この言葉から状況によって5番、7番ウッドと2番アイアンを使い分けていたのであろう。

顔つきも温和になった76歳のパーマーは、ゴルフのショットにも柔らかさが加わったと、このキャディバッグの中身が物語っている。

5番、7番ウッドを仲間入りさせたこのパーマーのセットは、塩ジイと同じ古いゴルファーが、今でもフェアウェイウッドをバッグから消しきれないでいる心理に、一脈通じるものがあったような気がしてならない。

現在の70歳代、80歳代のゴルファーは、プロもアマも3ウッド(D、3W、4W)+8アイアン(2I~9I)+2ウエッジ(PW、SW)時代から始め、その後、2I、3Iの代わりに5W、7Wを入れたセットで長い間プレーを続けてきた。この流れは、年齢を重ねると同時に2I、3Iよりも5W、7Wに打ち易さ、高弾道の利点が認められたからである。

ユーテリティの進出

新しいクラブセットの波は、2005年が過ぎたあたりから徐々に始まっていた。それはフェアウェイウッドの数が少なくなり、代わってユーテリティの出現とウエッジの増加である。

それを2018年から2019年半ばにかけて、米ゴルフ誌(ゴルフダイジェスト、同ゴルフマガジン)に載ったプロのバッグの中身から調べてみた。

2005年以前は、前に述べたようにウッド4本、または5本。アイアンが2番から9番、ウエッジがPW、SWというのが主流だった。だが、それから15年が経たない間に、バッグの中身はかなりの変わりようを見せた。

2005年がすぎたあたりから、アメリカの女子プロや飛距離に劣る男子プロなどの間で、ユーテリティといわれる新しいクラブが使われ始めた。

例えば女子プロのポーラー・クリーマーがユーテリティの3、4番をバッグに入れ、男子のジョナサン・ケイはユーテリティの3番、シーン・オヘアとK・G・ジョイも同じ3番をバッグに入れていたと資料に記されている。

そして現状は、前記、米ゴルフ2誌に載っている、16名のツアープロのうち9名のプロが、ユーテリティを1、2本、ウエッジを3本入れているのが普通になった。

塩ジイのバッグの中身は2005年のアーノルド・パーマーの中味に近い。ユーテリティは1本しか入っていない。プロがいうボールの上がりやすさ、打ちやすさを考えれば、もう少しセット内容を検討してもいいのではないか。


この記事は弊誌月刊ゴルフ用品界(GEW)2019年11月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。

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塩田正

塩田正

昭和7年、千葉県生まれ。昭和31年東京教育大学(現筑波大学)体育学部卒業。体育心理学専攻。同年(株)ベースボールマガジン社入社。ゴルフマガジン誌編集長を経て独立。会社役員、短大講師を兼ねながらゴルフライターとして活躍。

最高のハンディは5。現在は14。ベストスコア69。アルバトロス1回。ホールインワン4回。エージシュート21回(平成29年1月現在)。著書「ゴルフ“死ぬまで”上達するヒント」(ゴルフダイジェスト社)ほか多数。日本ゴルフジャーナリスト協会顧問。

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