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第41回 飛距離を嘆く前に、まずアドレスのチェックを

エイジシュート21回の塩じいが語る 塩田正

アメリカの専門誌に載っていたジョン・スウィルの「スタンドトール」の記事を読んでハッと気がついた。内容は「背中を丸めずに、大きく構えるアドレス」という特集だった。

本来ならアドレスの写真を見ただけで見逃すところだったが、最近ショットがよくないのは、構え方に原因があるのではないかと、うすうす感じていた矢先だったので、この特集に目が止まった。

80歳を過ぎた頃からフェアウェイウッドやアイアンショットでボールの頭を叩くミスが目立つようになった。原因は全くわからず、友人に相談したら、「目が悪くなったからだよ」とそっけなくかわされた。

確かに目も悪くなったし、足腰も弱くなった。こんな友人の言葉にも、抵抗なくそのまま受けいれられるようにもなった。

しかしスウィルの特集を読んでいくうちに、今の〝トップ病〟は、知らないうちに背中が丸くなっているアドレスの姿勢が、原因ではないかと確信するようになった。

というのも、この記事を発表したJ・スウィルが、

「構えたときに背中が丸くなっていると、スウィング中のスムーズで力強い体の回転ができなくなる。そのためにインパクトでヘッドスピードが落ちたり、ダフリやトップといったミスを招いたりする恐れがある」

と丸い背中のアドレスが、ショットに及ぼす影響について、こう教えていたからである。

スタンドトールの勧め

「高く立て」といっても、膝や腰を伸ばして、直立に近い姿勢をとるわけではない。J・スウィルは、アドレスの正しい姿勢について、次のように説明している。

「丸くなる背中を抑えるためには、上体を前傾させるときに腹からではなく、腰から折るようにする。次に両膝を軽く曲げ、お尻を後方へ突き出すことである」

実際にこの方法でやってみると、背骨がまっすぐに伸び、重心がピタッと両足の土踏まずの中心に落ちる感じだ。このために押されても引かれてもビクともしない体勢ができあがる。

同時に背骨をまっすぐに伸ばしているせいか、高い姿勢で構えているイメージも湧いてくる。

そしてこの姿勢には、何となく懐を深く感じさせる一面がある。そしてJ・スウィルもいっているように、肩が今まで以上に回りやすくなった感じもある。

最近のアメリカのゴルフ専門誌には、「アスレチック・アドレス」という言葉がよく出てくる。競技者向けの構え方とでもいったらいいのか。とにかく「構え方の見本」となるフォームであることに間違いない。J・スウィルのこの理論も、まさしくアスレチック・アドレスの考え方と同一のもののように受け取れる。

では先端を行くこのアスレティック・スタイルのアドレスを身につけるにはどんな方法があるのか。

レッスンの名手といわれた小松原三夫プロは、愛弟子たちに「地面にある重い石を両手で持ち上げるときの姿勢」と教えていた。

石を両腿の高さまで持ち上げたときの形を見ると、両膝がわずかに曲がり、お尻は後方へ突き出た形になる。そして前傾している背骨は首からお尻までまっすぐに伸びている。

またアメリカのレッスンプロV・J・トロリオがレッスンする雑誌には、基本的なアドレスの姿勢として、相撲の稽古で、兄弟子が弟弟子に「さあ来い」というように、両足を踏ん張り、胸を広げた写真が使われている。

ずっと前、先輩の相撲担当記者に連れられて、部屋巡りをしたことがある。兄弟子の胸に、両手でぶつかっていく若手力士の姿を見たが、兄弟子の体はビクともせず、仁王立ちのままだったのを思い出した。

この写真から推理しても、V・J・トロリオの示すアドレスの形が、いかに強固なものであるかがわかった。

さらに「完全なるアドレスの姿勢」と題して、同じくアメリカのレッスンプロ、カルロス・ブラウンがゴルフ雑誌に次のような方法を勧めているのも目にした。

まず、直立してバックルを中にして、両手でベルトをつかむ。そしてその両手を両腿の方へ強く押し下げるというやり方である。

こうすると両膝がわずかに曲がり、背骨はまっすぐのまま、お尻を後方へ突き出すような形になる。

以上、強くてバランスのよいアドレスの姿勢を作る3ドリルを紹介したが、この姿勢における背骨の位置は、ウッド、ミドルアイアン、ショートアイアンで、微妙に変化することも念頭に入れておく必要がある。

昔から「構えたときの顎の位置がダウンスウィングの最低点」という説がある。

それに従えばドライバーの顎の位置はスタンスの中央より右寄り、5番アイアンでスタンスの中央、そしてショートアイアンでは中央よりも左足寄りがそのポイントになる。

実戦では、前記のように基本姿勢における背骨の位置が、クラブによって順次変わることも常に頭に入れて実践していかなければならない。

一般には静止しているアドレスだけに、練習しなくても何とかなるだろうと考えがちだ。しかしアメリカから送られてくる専門誌を見ても、紙面のページ数では、アドレスの項が最も多い。

老いが進むからこそ、これからもアドレスの変化には、特に目が離せないと思っている。(第41回 完)

カヌースティ・ゴルフリンクス 好スコアに乾杯

初めてセントアンドリュースを訪れたとき、小さいが由緒あるホテルの女主人が、オールドコースを終わったばかりのわれわれを玄関先まで迎えてくれた。そして「カヌースティにも行くんでしょう。素晴らしいコースですよ。」と、期待させる言葉を投げかけてくれ、長旅の後のラウンドの疲れもすっ飛んだ。カヌースティも海がすぐ近くまで迫っているシーサイドコースである。むずかしいことで知られているが、とくにそれを感じさせたのは、後半の16番(パー3=245ヤード)、17番(パー4=433ヤード)、18番(パー4=444ヤード)だ。幸運にもこの3ホールを1オーバーで上がって、トータル87というスコアは上出来だった。その夜はホテルで祝杯。


この記事は弊誌月刊ゴルフ用品界(GEW)2021年1月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。

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塩田正

塩田正

昭和7年、千葉県生まれ。昭和31年東京教育大学(現筑波大学)体育学部卒業。体育心理学専攻。同年(株)ベースボールマガジン社入社。ゴルフマガジン誌編集長を経て独立。会社役員、短大講師を兼ねながらゴルフライターとして活躍。

最高のハンディは5。現在は14。ベストスコア69。アルバトロス1回。ホールインワン4回。エージシュート21回(平成29年1月現在)。著書「ゴルフ“死ぬまで”上達するヒント」(ゴルフダイジェスト社)ほか多数。日本ゴルフジャーナリスト協会顧問。

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