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ゴルフスウィングの基本とは何かを考えよう

エイジシュート21回の塩じいが語る 塩田正

若い頃、ハワイでアメリカのレッスンプロのコーチを受けた。そのときにUSPGA発行の「メソッド オブ ティーチング」という本があることを知った。

アメリカのプロゴルフ協会が発行元ということで、なんとなく新鮮で、内容にも一本筋が通っているような気がした。どうしても欲しくなって、その場でコピーさせてもらった。そしてそのコピーは今でも大事な私の教科書だ。

当時はゴルフ記者として、プロにスウィングの技術について話を聞き、原稿を書くことが仕事の中心だった。

取材しながら、気がついたことが一つあった。それは同じスウィングのポイントを説明する場合でも、プロによって、明らかに違ったり、あるいは微妙に差がでたりすることだった。

例えばテークバックのスタートで、あるプロはまっすぐ後方へヘッドを動かすというのに対して、ほかのプロは、インサイドへ引くという類だ。

仕事とはいえ、実は自分でも少しでも上手くなりたいという気持から、プロに聞いた話は、練習場で実際にやってみることにしていたので、こうしたちぐはぐな話になると、どちらのプロの説を選択するか非常に困った。

あるとき知人から「あなたはプロからいろいろ教えてもらえるので羨ましい」と話しかけられたこともあった。だがプロの話は前に述べたように十人十色なので、かえって混乱するケースが多かったことも覚えている。そんなときに見せられたのが「メソッド オブ ティーチング」の本だったのである。

モダンとクラシックの比較

この技術書の執筆者としては、セレステ・ウルリッチ博士(ノースカロライナ大学教授=健康教育学)を始め、人気ツアープロのバート・ヤンシー、ジム・フリック、ボブ・トスキーなどが名を連ね、さらにレッスンプロとして、全米に名が知られていた、クラブプロのビル・ストラスバーグ、ドン・スミスなども加わっている。

またこの本では、近代ゴルフスウィングへの道を切り開いた名手、ハリー・バードンとボビー・ジョーンズの二人の技術を克明に分析し、さらに新しい時代(当時)のバイロン・ネルソン、ベン・ホーガン、ジャック・ニクラスらが、それぞれの時代のスウィングをどう進化させてきているかをわかりやすく比較説明している。そして、その時代の一番新しい技術を〝教科書〟として出版したのである。

この本を読んでいくうちに、前記のように多くのプロを取材し、各人各様の技術の話を聞いても、混乱することはなくなったような気がした。

取材で気になっていたそれぞれのプロの説明に差があるのは当然であり、この「メソッド オブ ティーチング」とは、違った角度から動きを捉えたもので、個人的な問題と割り切ることができたからである。

そこで参考のために、この書の中で、当時、何がモダンで、何がクラシックなのか、その一部をピックアップしてみた。

・テークバックのスタート
〈モダン〉両脚は固定したまま動かない。
〈クラシック〉ヘッドとともに下半身も動き始める。

・バックスウィングのトップ
〈モダン〉少ないヒップターン(上半身と下半身の間に捻れを生じさせる)。
〈クラシック〉からだの右サイドを後方へ回して、大きなヒップターン。

・インパクト
〈モダン〉左手首が折れずに、しっかりとアドレスの形をキープしている。
〈クラシック〉左手首が逆くの字に折れて、手首で強く打つ感じになっている。
こんな形式でアドレスからフィニッシュまで53項目に分けて対比している。
ただ、練習場で知人に「メソッド オブ ティーチング」の話をすると、「あなたはアメリカ人に比べて背も低いし、力も弱い。外国人の書いた技術書が参考になりますか」と質問された。
だが、前出の例文でもわかるように、体力やパワーを必要とする技術的チェックは、この本のどこを探しても見当たらなかった。
この本は、あくまでも万人に向けた教科書であり「ゴルフスウィングとは」という、技術の基本を客観的に明示したものであるからだ。

成功したゴルフスクールの一因

昨年の暮れに大掃除をしていたとき、古い日本のゴルフ雑誌をペラペラとめくっていたら、アメリカのゴルフ評論家トム・クィーン氏の「200年の歴史の積み重ねが(ゴルフの)基本である」という見出しに目が止まった。

トム・クィーンはその特集の中で、あるゴルフスクールの成功の一因を、

「そのスクールを開講する前に何をやったか。なん10年もレッスンをやっている有名なティーチングプロ、長期にわたって立派な成績を残しているツアープロを集めて協議を重ね、年齢、性別に関係なく、体重や背の高低を問わず、すべての人がこれだけは守らなければならない点について討議し、〝基本〟をその通り実行したからです」

と、しっかりとゴルフの基本を提示し、それに基づいて教えたのが、多くのゴルファーに認められたのではないかと説明している。

日本にもアメリカPGAが発行したような基本に基づいた教科書があれば、世の迷えるゴルファーたちにとって、大いなる助けになるのではないか。   (完)

タイトル 万感込めた「退会」の通知

セントアンドリュースの近くにスコッツクレーグ・ゴルフクラブがある。1996年夏、セントアンドリュースのプロに連れられて、仲間と一緒にこのコースでゴルフを楽しんだ。その後、ここのメンバーと我々の訪問チームで対抗戦などもやってきたりした。

ある時、仲間の数人とキャプテン室に呼ばれ「このクラブの海外メンバーに承認された」と報告を受けた。その後、スコットランドを訪れるごとに、このメンバーコースでプレーを楽しんだ。友人もできた。だが70歳を過ぎたあたりから、さすがにスコットランドへの長旅に恐れをなし、訪問の機会もなくなった。80歳を機に残念ながら退会の通知を送った。


この記事は弊誌月刊ゴルフ用品界(GEW)2021年3月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。

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ライター紹介 ライター一覧

塩田正

塩田正

昭和7年、千葉県生まれ。昭和31年東京教育大学(現筑波大学)体育学部卒業。体育心理学専攻。同年(株)ベースボールマガジン社入社。ゴルフマガジン誌編集長を経て独立。会社役員、短大講師を兼ねながらゴルフライターとして活躍。

最高のハンディは5。現在は14。ベストスコア69。アルバトロス1回。ホールインワン4回。エージシュート21回(平成29年1月現在)。著書「ゴルフ“死ぬまで”上達するヒント」(ゴルフダイジェスト社)ほか多数。日本ゴルフジャーナリスト協会顧問。

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