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    女性ゴルファーが3割になると世界観が変わる

    時田由美子
    株式会社CURUCURU代表取締役。前職SE時代にゴルフにはまり、女性のゴルフ環境をもっと良くしたいとゼロから起業。女性会員7万人の女子ゴルフサイト「CURUCURU」を作り、「女性とゴルフをつなぐ」をテーマに...
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    月刊ゴルフ用品界2016年9月号掲載 なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。
    プレーヤーも業界で働く人も男性が中心のゴルフ業界において、女性の置かれた環境を理解できる、あるいは理解したいと考える人は多くない。 また、今ゴルフを続けている女性プレーヤーのみならず、ゴルフ業界で働いている女性でさえ「これが普通」「私たちの時代はこうだった」と思っている方が多く、現状にさほど疑問を感じていない方もめずらしくない。そこで常々思うのは、ゴルフを続けられなかった人の気持ちは、続けている人には理解できないということだ。 弊社は今、ゴルフに関心がありつつも始められない平均所得の女性でも「ゴルフが始められる」「続けられる」ようにすることで、女性ゴルファーを増やしたいと考えている。その中で、長期的に「女性ゴルファーを全ゴルファーの3割にすること」を数値目標としており、誤解を恐れずに申し上げれば、全体のゴルフ人口が減少し、結果的に女性比率が高まったとしても、それでよいと考えている。

    少数派の世界とは

    男性諸氏がイメージしやすいように、女性がゴルフ場で置かれている環境を「男女共学の高校」に置き換えて説明しよう。ただし、この高校は商業科で、共学ではあるものの男女比率は1:9とする。1クラスを30人とすると、男子は3人、女子は27人のイメージだ。想像力のある男性なら、この段階で居心地の悪さを感じるかもしれない。 圧倒的なマジョリティは女子となるこの学校の男子は、どんな扱いを受けるだろうか? 体育の時間になると教室は気ままに着替えだす女子に占拠され、男子は廊下やトイレで着替えることになるかもしれない。売店のランチは年ごろの女子に合わせた少なめ量や、さっぱりとした品揃えかもしれない。 入学を検討する男子中学生は、商業科の内容に興味を持ちつつも男子の少なさに受験を躊躇うことも考えられる。さらに、その高校の授業料が高額だったら? これが、今の女性ゴルファーの状況だ。 男性の所得水準に合わせたランチ価格や内容、コースにある女子トイレを男性が使うなど、一般社会ではありえないモラルの低さ。男性視点で定めた長すぎるレディースティの距離など、数えあげればキリがない。これで、男女が支払う価格が一緒かつ高いのだから、女性の方がゴルフに対するコスパが悪いと感じて当然だろう。 次に、少数派が1割から3割になった世界を想像してみよう。先述のクラスで言えば男性10人・女性20人の世界だ。3割になると少数派といえども存在感が増し、配慮されるようになる。着替えには男子更衣室が用意され、ランチは男子が満足する視点が加わる。そして、入学を検討する男子の心理的ハードルが下がることは間違いない。割合は、力関係に多大な影響を及ぼし、その分岐点が「3割」だと私は考える。

    割合を増やすには

    割合を増やすことは、現状の差が大きいほど難易度があがる。みなさんなら、男子生徒を増やすためにどんな施策をされるだろうか? この正解は一つではないと思うが、手前味噌な例で恐縮ながら、私の過去の悩みを紹介したい。弊社は長らくこの問題を抱えていたのである。 弊社は女性の人生を豊かにすることをビジョンに女性特化サービスを展開しており、起業して数年は女性だけの組織だった。当時の社員数は15人ほどで、どこかで男性社員を‥‥と思いながらも、女性社長というマイナスイメージや、社員もパートも全員女性となると、最初の男性を迎えるハードルは高く、受け入れる社内の反応も気がかりだった。それでも会社を育てるために「多様性」が必要と考えていた私は、同じ悩みで失敗・成功経験をもつ先輩経営者や男友達などに相談しまくり、次のような男性社員が好ましいという結論を得た。 ①女性が多い職場の経験者 ②長男タイプ(責任感・頼りがい・人に気遣いでき優しいなど) ③入社後すぐに活躍できる専門職(Webマーケティング・制作開発など) 最初の男性を募集するために、私は「成果報酬型」求人媒体に広告を出した。理由は、当時主流の期間掲載型だと、掲載料を払ったからにはこの中から採用したいと妥協心が生じ、そもそも女性の職場と書くことで応募者が減り、長期化することが明白だったからだ。 半年かけて約20人と会い、一次で3時間(多い人で5時間)かけて、実はあなたが一人目の男性社員であること・男性を求めている背景・メリットデメリットを正直に伝えた。 記念すべき第1号の男性(34歳)は「男性一人の職場ではなかったが近い環境で働いた経験があり、逆にちょっと燃えます」と笑顔で言ってくれたのが決め手の一つ。 現在は専門職を中心に男性社員は15%で、これが3割になれば、より幅を広げられるだろう。マジョリティと違う属性の人を取り込もうとする時、難易度やコスパが高くなるのは当然だが、どこかの割合までいくと変化が生まれると信じている。

    多数派の人の助けが必要

    マジョリティ側の協力も大切だ。先日、選挙の参加年齢が18歳に引き下げられたとき、ソーシャルにポストされた「無理ゲー」という言葉をご存知だろうか? これは、難易度が高すぎて「クリアするのが無理なゲーム」を指す若者コトバ。若者たちが支援したい政策を掲げる政治家に投票しても、若年人口はそもそも少ないため、18歳~20代の全員が投票に行ったとしても、投票率58%の70歳以上に数で勝ることはできない。このような現実に対して若者たちは「結局、無理ゲーだ」とソーシャルポストしたのだ。 でも、望みはある。マジョリティのみなさんが、正義感をもって若年層向けの施策が必要だと考えるようになってくれること。ゴルフ業界におけるレディス問題も同様だが、やはり無理ゲーなのだろうか?
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