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ゴルフのキャディとは? 「真・キャディ・論」 魅力ある職業としてのキャディが日本のゴルフを面白くする

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ゴルフのキャディとは? 「真・キャディ・論」 魅力ある職業としてのキャディが日本のゴルフを面白くする

本題に入る前に、日本のキャディ事情について書くことにします。その部分を理解しないと議論にならないからです。

今、ゴルフ場でキャディが不足しているという。以前と比べてキャディのなり手がほとんどなく、ゴルフ場は困っているのだ。キャディという仕事も時代の転換期、そう過渡期に来ているのだと思う。

その理由を考えてみると、この問題はゴルフ場の経営スタイルに起因しており、それはどのゴルフ場も同じような経営形態、プレイスタイルを提供しているところにあるとみる。具体的な問題点を以下に詳述しよう。

そもそも日本のキャディという仕事はどのようなものを指しているのか

日本では一般的に、ひと組に一人、概ね女性のキャディがつくケースが多い(キャディ付きの場合)。彼女たちの主な仕事は担当するお客様のバッグをバッグ立てから探し出し、3つないし4つをカートに積んでそれぞれのバッグにあるクラブの本数と誰がどのバッグの持ち主かを確認し、ティグランドへ。そこでスタート前の簡単な挨拶とゴルフ場のルールを説明した後、ティショットで使用するクラブをプレイヤー一人ひとりに渡す。

ここからが目まぐるしく忙しい。一人ひとりのプレイヤーの打ったボールの行方の確認、次はプレイヤーの打ったボールの地点までカートを運び、クラブの選択から配達、グリーンに行けばパターを持って行って渡し、ピックアップされたボールを拭き、パッティングのラインを教える。その間、グリーンのピッチマークを補修し、グリーンサイドのバンカーを均す。最後にピンをカップに差して次のホールへと進む。

カートの中では少し気の利いた会話も求められる。これを18ホールも続けるのだが、極め付けはプレイ終了後、プレイヤーのバッグとクラブ本数の確認をして、フロントまでバッグを運ぶ。最後はサービスの具合がどうだったかのアンケートをとる。ざっと仕事の内容を書いてみてもこれだけの仕事量である。これをこなして一人前のキャディとして認められる。誰でもできるものではなく、れっきとした専門職だ。

さるゴルフ場経営者にいわせれば、「一人前になるのに2年は掛かる。そこから投資を回収できるのだが、定着率が低いためロスが生じてしまう」。むろん、見習い期間中の収入は低いのだが、キャディになるのは意外とハードルが高いのだ。

なぜキャディを指名できないのか?

まず、ゴルフを知らなければ仕事にならない。早朝からの勤務であり、通勤が僻地のゴルフ場の場合、自家用車でとなる。車の運転はもとより専用の自家用車を持っていなければならない。ゴルフ場自体も顧客争奪の中でプレイ料金を下げざるを得なくなり、キャディフィを上げることは難しい。その収入は何年たっても増えないのだ。

このような事情から、ゴルフ場はキャディ数の絶対的不足と共にキャディフィがプレイ料金に加算されると高いイメージとなり、集客にも大きな影響が出てくる。そのためにセルフプレイを導入するのだが、良いサービスを提供したいとなるとキャディは必要不可欠と考えている。

一方、セルフプレイになると次のような問題がゴルフ場を悩ます。一つはプレイの進行が遅れ気味になる。特にバック9は疲れや昼食時の飲酒が原因でショットが乱れるケースが多い。二つ目はバンカーの均し、目土、ピッチマークの補修などができず、ゴルフ場が荒れることだ。

これらは今までキャディがやっていた仕事なのでプレイヤーはやらなくて良いと思っている。本当は全てプレイヤーがやるべきマナーなのに、良いサービスとしてキャディにやらせてしまったツケが出てきている。

キャディをつける、つけない、の選択肢がない場合、サービスや接客の良いキャディを指名できない点はお客側からするとおかしい。ビジネス上や大切な友人とプレイする場合は、少し割高でも良いキャディをつけたいと思うのが人情で、仕事がうまくいくか否かもキャディ次第ということもありうるからだ。

では、なぜキャディを指名することができないのか? 評判の良いキャディは当然指名が多くなり、収入も安定する。しかし、指名が少ないキャディは自分の資質がないことを棚に上げて、妬んでいじめを行うという。その結果、優秀なキャディが辞めてしまうという最悪の事態が発生する。ただでさえキャディが不足しているところに優秀なキャディが辞めてしまったら、ゴルフ場にとっては大問題。だからアンケート調査を励行し、キャディ教育を徹底して、サービスの均一化を進めるのである。

優秀な人が喉から手が出るくらい欲しいのに、パワハラまであるような厳しい職場環境に人は集まるのだろうか。人出不足になる原因もここにある。

タイガーのキャディは精神科医だった

そもそもキャディとは何かである。

キャディの正しい仕事はプレイヤーのゲームの手助けをする、つまりスコアメイクのサポートをする人で、同時にプレイヤーのクラブも運搬するところからキャディと名付けられている。プロのトーナメントで選手のゲームサポートをしているのが本来のキャディの仕事であり、試合ごとに契約する人もいれば、年間契約をしている人もいる。

PGAツアーの場合、基本的なキャディ業務は選手のクラブ選択と距離のジャッジだけで、グリーン上のことは基本的には関係ない。そのために選手のショットの状態から各番手のショットの飛距離(この場合色々なショットが求められる)、身体や精神の状態までも把握する必要がある。

試合会場には先乗りしてコースの状況やハザートの位置、主要な位置からの距離の確認をしっかり行い、試合に備える。同時にゴルフはメンタル的な要素が大きく、時としてプレイヤーの精神状態により適切な言葉を選んで、高いモチベーションを引き出し維持する役割も期待される。理想的には選手のコーチがキャディを行うことだが、それだけキャディは選手にとって必要不可欠な大切な存在である。

アマチュア時代のタイガー・ウッズがマスターズに出場した時、全米アマチュア選手権時のキャディはDr.Jayと呼ばれる専属の精神科医が勤めたほどで、優秀なキャディは選手間で引っ張りだことなっている。

日本の場合はどうだろう? 失礼ながらキャディは選手より一段下のシモベであり、召使的な感覚で位置付けられる感じを強く受ける。通常のゴルフ場営業では、過去の経緯からキャディ業務が変質してしまい、日本的なゴルフスタイルの中にすっぽりとはまっている。誰も改革に手を出さないことは不思議でもある。

筆者はこのことについて、ゴルフ場のオーナーと議論をしたことがあるが、「あなたはゴルフ場のことを全くわかっていない」と一蹴されて議論がかみ合わなかったことがあった。部外者だからわかる部分もあるのであり、意見は意見として大いに議論を重ねた方がより良い方向に行くと思うのだが…

シーズンオフのプロキャディで最高の一日

私はこのように思っている。「真・キャディ・論」である。

キャディという職業を専門職として魅力あるものにすべきであり、当然収入もその仕事に見合ったものを受け取れるレベルにすべきというものだ。つまり、キャディは一人のプレイヤーが自分の目的に合わせてそれに最もふさわしい人を指名して、契約ベースで業務を行ってもらうべきと思っている。

ゴルフ場にそのようなキャディを帯同するか、ゴルフ場で待ち合わせて顧客の要望に沿ったことを1日ゴルフ場で行うものである。当然、一人のプレイヤーに一人のキャディとなる。また、大切な人とゴルフをする場合、そのヒトに優秀なキャディを選んでつけてあげることは最大のおもてなしでもある。「そのような人材はどこにもいない」とゴルフ場関係者はいうけれど、案外いるものだと筆者は見ている。ただ、そうできない環境が見えなくしているのである。

もし、本当にいないのであれば、育成してプロキャディとして成り立つような環境を作るべきである。日当は、インストラクターがラウンドレッスンをするくらいの金額が必要で、もっと高くても需要はある。告知の仕方次第だと思っている。「ない」と言っているのはニーズの調査をしていないからだ。

問題は、大半のゴルフ場が帯同キャディを認めていないことで、まずはここから変えていく必要がある。その際、ゴルフ場は欧米のようにセルフプレイを前提として、キャディ業務はゴルフ場が関知しないようにすべきだと考える。事前に、またはゴルフ場でプレイヤーとキャディとの直接契約にすることが、今ゴルフ場が抱えているキャディに関する問題を解決できる一策にもなるからだ。

では、どのような人材が求められるかといえば、まず接客に長けたプロゴルファーやインストラクターが最有力。次はゴルフ場のメンバーで、スクラッチプレイヤーで接客技術に長けた人となる。このような職種は確立されていないので、現在他に仕事を持っている人がテンポラリーで請け負うことから始めたらどうだろうか。シーズンオフのプロキャディも適任である。本物のキャディをサポート役として、共にゲームを楽しんだら、どれだけ1日が有効に使えるかわかるはずである。

ビジネスであれば将来を託すような人材にキャディをしてもらうことも面白いと思う。バッグを担いで、ボールを拭くだけがキャディの仕事ではなく、プレイヤーがゴルフを楽しめるという目的でキャディを選べば、あらゆる可能性を持った人材が思い浮かぶ。ゴルフは、歩行しながら考える、会話を楽しむ時間が大半を占めるからだ。

陳腐なサービスや、必要以上のサービスを低賃金で提供するのはやめたほうがいい。その方がゴルフ場にとってもプレイヤーにとってもメリットは大きいと思う。

外国人に観光案内までするキャディ

今後、インバウンドで海外のゴルファーが日本のゴルフ場でプレイし始めるため、改革には良い時期でもある。

キャディの「人材バンク」を発足させることも有力な一つの方法で、顧客の目的に合わせたキャディを提供できれば、それこそ本来の日本の持つ強みである、おもてなしのコンセプトを前面に出して、ゴルフだけでなく日本の文化、歴史や勧めたい日本料理店や観光地の案内までやってのければ「日本のゴルフは素晴らしい」となり、さらに彼らの口コミ、SNSの発信などからゴルフ場が望む顧客が来てくれることにつながると信じる。

語学に堪能でゴルフを熟知している人材、接客技術に長けたインテリジェンスのある人材はなかなかいない。しかし、いなければ育成すれば良いと思う。キャディという仕事に魅力があり、収入も悪くなければ成り手は必ず出てくるだろう。また、様々な人たちとコミュ二ケーションが取れるキャディ自身も、大きなキャリアアップが望め、なおさら魅力的な仕事になるはず。

本物のキャディを連れてゴルフをしたことがない人がほとんどであれば、それは不幸なことだ。旅行に行って、現地で素晴らしいガイドを雇って見聞することができれば、その旅がどれだけ思い出に残るものになるか。また、登山でも山岳ガイドを雇うことで安全に快適に登山ができる。彼らは立派なプロで、それで生計を立てている。ゴルフでもできないことはない。

本物のキャディと中身の濃いゴルフを体験してもらうことが「日本のゴルフをもっと面白くする」ことにつながると信じています。

キャディとは自分のゴルフを次のステップに運んでくれる人、ですよね!


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松尾俊介

松尾俊介

1949年12月23日生れ  神奈川県出身
東海大学工学部航空宇宙学科卒、在学中は体育会ゴルフ部副将および関東学生ゴルフ連盟の連盟委員を兼務。パイロット志望から一転してゴルフ用品販売業務に携わる。ゴルフ工房を主宰しながら1988年からフリーランスゴルフライターとしても活動。国内外合わせて25のゴルフクラブメーカを取材し、記事として各誌に掲載する。「良いゴルフクラブとは何か」をテーマに取材活動を続ける。1989年米国キャロウェイゴルフの取材と掲載記事をきっかけに親交を深める

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