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鹿沼グループの大胆改革!完成に近づくコロナ後の布陣

ゴルフ場 小川朗

栃木県内でゴルフ場3コースを保有する鹿沼グループ(福島範治社長)が、30項目にも及ぶ大胆な改革プランを断行中だ。中でも目を引くのは、補助金を活用してコンペルームを改造し、シミュレーター2台を投入する計画。若年層の開拓にも、このラウンジが大いに力を発揮しそうだ。コロナ後のロケットスタートに向けて、他の改革案も次々に実行へと移されている。

事業再構築補助金を活用


「4室ある鹿沼72のコンペルームのうち2室をシミュレーターラウンジとして整備します」。

鹿沼グループを率いる福島社長は笑みを浮かべて、さらにこう続けた。「『事業再構築補助金』の第2次候補として採択されたので、よし、これでいけるぞと」。

クラブハウス内にシミュレーターが2台。外には300ヤード・20打席の練習場も、45ホールものゴルフ場があるというのに、という疑問が生じるのも無理はない。そもそもシミュレーターは都市部などコースでプレーできない場所にいながら、リアルにラウンドしているかのような体験をするために生まれたものだ。

だが、実はゴルフ場だからこそ、シミュレーターを導入する意味がある。コロナ禍において、最も明るい話題といえば、30代以下の若い世代が感染リスクの少ないレジャーとしてゴルフを始めたこと。その一方で、問題視されているのが、ビギナーたちにマナーと技術を学ぶ場がないこと。いきなりコースに出たためにスロープレーとなりベテランゴルファーから叱責されたり、うまくならずゴルフの楽しさや爽快感を体感できずにゴルフをやめてしまったりというケースも少なくない。

コロナ禍の中、せっかく密にならず、開放的な空間で楽しめるゴルフの魅力に気づいてくれた若者たちが、ゴルフに背を向けてしまうのは、何とももったいない話。彼らにリピーターとなってもらうにはどうしたらいいか? というのはゴルフ界全体にとって、喫緊の課題だ。

当然のことながら、福島社長の言葉にも力がこもる。「U35(アンダーサーティーファイブ)会員制度」を新設して、今会員が1000人います。元は500人だったのですが、コロナ禍で倍に増えました。これは35歳以下の、上達したいと願うすべてのゴルファーのためのお得な制度です。現在の実力は問いません」。

当然、会員の中にはクラブを握ったばかりのゴルファーもいる。コースデビューという一段上のステージに上がる前にマナーや基本的な技術など身につけたい課題がある。そこに上がる前の「中2階」でシミュレーターが果たす役割は多い。

「ご希望の方には、マナーが学べるレクチャーがあります。まずシミュレーターでゴルフに慣れてもらって、コースデビューに備えてもらうのもいい」(福島社長)。シミュレーターならラウンドしながら、後ろの組にスロープレーで迷惑をかけることもなく、楽しくゴルフをマスターすることが可能だ。

入会金は4人で割れば2750円


ちなみにこのU35会員の入会金は1万1000円だが、グループ(上限は4人まで)で入会可。4人なら人数割りで一人2750円となる。

年会費は一人1万1000円。プレー料金は食事付きで平日3750円、土日祝日が5700円(料金はすべて税込み)とかなりリーズナブルだ。しかも正会員入会移行時には、名義書換料が50%オフの特典もある。

さらにシミュレーターのある場所でゴルフグッズを販売するプランもある。新型コロナウイルスの感染拡大による緊急事態宣言が出されてから、どこのコースでもドル箱だった企業コンペが消滅。コンペルームも無用の長物と化していた。そのスペースを有効活用するチャンスも広がる。

最近はゴルフ場に隣接したグランピング施設も珍しくなくなったが、鹿沼グループの栃木ヶ丘ゴルフ倶楽部の場合は一味違う。フェアウエーにテントを張ってのラグジュアリーキャンプを5月19日より毎週水曜日と土曜日、1日1組限定でスタートさせている。

キャンプといっても、アメニティやキャンプ用品は完備されているので手ぶらでOK。1ラウンド(昼食付。有料でキャディー付きも可)をプレーした後、18番のフェアウエーでスタッフのサポートを受けつつテントを設営する。

その後は感染リスクも低いオープンテラス席でプレミアムディナーコースを堪能。テントに戻り、星空の下、焚火を囲んで一杯やりつつ、ぜいたくな時間を満喫できる。オプションで花火の打ち上げ(4万円~)も可能。

夜が明ければ、芝生の上で朝日を浴びながら、届いたばかりの朝食を楽しむこともできる。有料でその後の追加のプレーも可能だ。

お値段は水曜日が3万8000円、土曜日が4万8000円(ゴルフ昼食付1ラウンド、1泊夕食・朝食・テント、テント内ドリンクフリー付き=1人当たり)。

同コースは一昨年の11月25日、栃木市と災害時協定も締結した。地域の住民が、市が指定している「避難場所」へ安全に避難することが困難な状況となった場合などに、施設を一時的な避難施設、車の避難スペースとしても提供する。

この他、従来のゴルフ場では考えにくい企画がいくつも実現している。例えば今年5月29日に鹿沼72CCで開催された花火イベント。周囲に建物がないため、市内では打ち上げ不可能な一尺玉も打ち上げられたという。

昨年は地域の花火大会がすべてキャンセル。そのため医療従事者むけのチャリティーイベントとして花火大会を行った。今年も鹿沼市の花火大会が中止になったため、2年連続で開催した。「敷地内で完結しますから危険もない。来年も継続してやっていきたいと思います」(福島社長)。

マスター室前の立ち見が1人2000円(大人1人につき子供1人まで無料)、テラスでのバイキング&飲み放題付1人8000円のプランも好評を博した。売り上げの一部を今年も寄付している。

ピザ窯

また、鹿沼72ではレストランをリニューアルして、本格ナポリピッツァを提供する。「地元の一般の方にも来ていただけるように、新しいピザステーションを作って、オープンキッチンにして、生地から作るピザを提供します」。

ピザを食べに来たついでに、シミュレーターでプレーしていく。ゴルフ場が地域の人々の憩いの場や、災害時の避難場所としても機能する。それは結果的にゴルフ人口のすそ野拡大にもつながっていくはずだ。

■取材後記

手元のICレコーダーには1時間35分14秒とカウントされているが、あっという間だったのが実感。福島社長の魅力は、人を安心させる笑顔。これが30もの改革を進められる原動力なのだと思う。社長が不安な表情を見せていたら、ついていく方も不安になる
▼この連載が早くも5回目を迎え、実感していることがある。今、元気のあるゴルフ場は、2016年あたりから5年後の今を見据えて、改革への準備を地道に進めていたことだ
▼5年前といえば少子高齢化に歯止めがかからず、ゴルフ人口が減少傾向に入り業界がシュリンクし始めていた時。その対策としてゴルフ場単体ではなく、プラスアルファの価値を見出し、それを具現化する作業に手を付けていた
▼人手もかかり、お金もかかる。体力のあるうちに準備を進めていたから、コロナ禍という緊急事態にも対応できた。これはラッキーだった、という一言で片づけられるものではない。いかなる有事にも備えられる体制を整えられていたからの、今なのだ。

【DATA BOX】

鹿沼グループ 代表者 福嶋範治
総従業員数 303人 売上高 22億2000万円(2020年3月現在)

◆鹿沼カントリー倶楽部
住所/電話番号 〒322-0532 栃木県鹿沼市藤江町 1545-2 TEL0289-75-2131
公式ウエブサイト http://www.kcc45.jp/ 
アクセス  車の場合:東北自動車道鹿沼IC 
電車の場合:東武浅草線・新鹿沼駅下車 車で約15分
45ホール(南・北各18ホール、黄金(こがね)9ホール)

◆鹿沼72カントリークラブ
住所/電話番号 〒322-0526栃木県鹿沼市楡木町1475TEL: 0289-75-2111
公式ウエブサイト http://www.kanuma72.jp/
アクセス 車の場合:北関東自動車道 都賀ICより15分  
電車の場合:東武浅草線・新鹿沼駅より車で20分 東武日光線・楡木(にれぎ)駅より車で5分(クラブバスは予約制)
45ホール(男体・筑波各18ホール、富士9ホール)
300ヤード・20打席のドライビングレンジあり

◆栃木ヶ丘ゴルフ倶楽部
住所/電話番号 〒328-0121 栃木県栃木市細堀町376 TEL: 0282-28-1070
アクセス 車の場合:東北自動車道 浦和ICから45分 栃木IC3分
電車の場合:JR両毛線・東武日光線 栃木駅よりタクシーで15分 
東武日光線・宇都宮線 新栃木駅よりタクシーで10分 (クラブバスは予約制)
18ホール 180㍎・11打席のドライビングレンジあり
公式ウエブサイト http://www.tgc18.com

◆富士企画株式会社(会員権仲介)


この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2021年10月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。

月刊ゴルフ・エコノミック・ワールドについてはこちら


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ライター紹介 ライター一覧

小川朗

小川朗

山梨県甲府市生まれ。甲府一高→日大芸術卒。82年東スポ入社。「世界一速いゴルフ速報」の海外特派員として男女のメジャー大会など通算300試合以上を取材。同社で運動部長、文化部長、広告局長を歴任後独立。フリージャーナリストとして本誌を始め、日刊ゲンダイで「ホントにゴルフは面白い!」(毎週金曜日)を連載中。

終活ジャーナリストとして「みんなの介護」でも連載中。日本自殺予防学会会員。週刊誌、ニュースサイトなど各方面に執筆中。㈱清流舎代表取締役COO。東京運動記者クラブ会友。日本ゴルフジャーナリスト協会会長。

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