1. ゴルフとSDGs

学生にクラブハウス内見学ツアー

ゴルフとSDGs ゴルフ場 谷光高

有馬カンツリー倶楽部(兵庫県三田市)では、2016年から大学体育ゴルフ授業「Gちゃれ」を開催している。これまでに5つの大学におけるゴルフ授業のお手伝いをし、延べ428人の学生が参加した。

さて、連載3回目となる今回は、学生たちの服装を中心に「ゴルフ場の常識」と「学生の常識」の違いについて取り上げてみたい。

Gちゃれに参加する学生たちには、事前に服装について多くの制限を設けてはいない。そうすることで学生たちの「ゴルフ場にはじめて行く」ということに対する感覚や心構えを知りたいからである。

先生にも予め、「服装については特に指導をしていただかなくて結構です」と伝えている。とはいえ、体育の授業だから運動靴は履いてくるように、また、帽子についても熱中症等を考慮し、安全のために着用したほうが望ましいとも伝えてもらっている。

お風呂やシャワー、ロッカーがあることも伝えてもらっているが、着替えについてはとくに言及していない。

ゴルフグローブは、学校や近隣練習場での事前練習もあるので、みんな持ってきてくれている。

以上のことを前提に、プレー中の服装について感じたことを述べると、概ねポロシャツなどを着用している学生が多い。先生やご両親に教えてもらっているのかもしれないが、体操服やジャージ、Tシャツで受講する学生も少なからずいる。

体育の授業だから、それはそれでとても新鮮に見える。また、足元を見ると、ほとんどの学生が普通の運動靴なので、ゴルフコースで授業を行うときには、危険防止のために斜面から打つようなことは避けている。

行きと帰りの服装については、ゴルフ部の学生や女子学生はロッカーで着替えるが、初心者男子はプレースタイルのまま来場する。

多くの初心者男子は着替えを持ってきていないので、盛夏ではシャワーを浴びてさっぱりしてから、また汗臭い服を着て帰るか、シャワーも浴びずに汗臭いまま帰宅する。「ゴルフでこんなに汗をかくなんて思わなかった」という声も聞いた。

テレビなどで優雅に歩いてプレーする映像を見て、ゴルフはのんびりプレーする汗をかかないスポーツとでも思っていたようだ。

Gちゃれの場合は3ホール、2時間程度だが、実際にプレーしてみると思ったところに打てない。だから暑い中でも慌ただしくプレーしなければならず、汗が吹き出しっぱなしで、「ゴルフってこんなにしんどいんや」と嘆いていた。

ハウス内見学ツアー

Gちゃれは社会を「学ぶ場」なので、社会人になって困らぬよう、日本のゴルフ場常識を学んでもらう機会をつくっている。ゴルフ場の常識は、学ばないとわからないことが多く、私でさえ、初めて訪れたゴルフ場ではとても緊張する。

これからゴルフを始める人にとってはなおさらで、とてもハードルが高い。そこで少しでもハードルを下げるために、練習に出る前の約30分間、クラブハウス内を見学するツアーを組み丁寧に説明している。

ちなみにGちゃれのスケジュールは、集合→見学ツアー→練習→昼食→コース体験などで計8時間を要するのが通常だ。参加者は20名ほどのケースが多い。

まず、クラブハウス前にキャディバッグを車から降ろすところから始まり、フロントでのチェックインを説明。帰りの精算までは食事や購入物など番号で管理されていることなどを教える。

次に貴重品ロッカーの使い方を説明した後、ロッカーと脱衣場、浴室へ移動。ロッカーでは裸にならないこと、着替えを持って脱衣場に行くことなども教える。

最近のスーパー銭湯やスポーツクラブでは脱衣場とロッカーが一緒だが、ゴルフ場は別。そのことに馴染まない学生が多いようだ。

会員制のゴルフクラブやテニスクラブ、旅館の宿泊客などという限られた人しか来ないことが前提の場所だからこそ、脱衣場に鍵付きロッカーを置いていない。「同好の士」なので盗るような人はいないという性善説に基づいている、などと説明している。

その後、マスター室(スタート室)に行き、役割の説明の他、雨天用衣類乾燥機や練習場コインの利用などについても細かく説明。

次にレストランに行く。後半スタート時間までの限られた時間内で食事をしなければならないという説明とともに、入り口の帽子掛けに帽子やバイザーを掛けてレストラン内では脱帽することや、椅子にジャケットやタオルを掛けていると注意されるゴルフ場もあると説明する。

最後に、プレー時やクラブハウス内での服装についても教示した。プレー時は襟付きのシャツを着用することなど、各ゴルフクラブで定められているドレスコードは事前に調べて遵守しなければならないと伝えている。

ジャケット着用の有無も同様で、「クラブライフ」の基本的な成り立ち、精神も伝えている。

ドレスコードの意味と伝え方

近年、ゴルフ場によって服装のルールは様々になってきた。ゴルフルールではゴルフウェアについて言及されていないので、各ゴルフクラブで定められたルールを守るべきであり、それが、会員を含めた他のゴルファーに対しての気配りであると教えている。

これから就活するにも、就職したい会社への気配りとしてリクルートスーツを着用する。

また就職し社会人となったとき、取引先などに営業に行くときに自分の個性を前面に出した好きな服装をしても、それが相手に受け入れられなければ商談にもならない。だから相手のことを考えることが大切であり、ゴルフの服装も同じであると伝えている。


この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2021年8月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。

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ライター紹介 ライター一覧

谷光高

谷光高

・兵庫県神戸市出身、1970年生まれ 甲南大学経営学部卒
・株式会社リクルートフロムエー(現株式会社リクルート)を経て、1996年新有馬開発株式会社(有馬カンツリー倶楽部運営会社)に入社、コース管理で勤務の傍ら、営業等にも従事し、2012年に代表取締役社長に就任、現在に至る。
・2020年よりMBA取得のため兵庫県立大学大学院に進学、在学中。

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