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コロナで若者ゴルファー増加中 一過性で終わらせないための考え方

ゴルフ場 大石順一

Q1 若者にゴルフを普及させるための考え方

「社会構造の変革」との視点から、一つの目標として「高齢ゴルファーの継続率アップ」を提案されていました。若年層へのゴルフ普及なくして、安定しゴルフ界とは言えないと思います。ゴルフは、コロナ禍で感染リスクの低いレジャーとして若年層に支持され出しているようですが、この変化に対し、ゴルフ界からの継続的な施策が見えません。

20~30代の若者にゴルフを浸透させる方策をどのように考えますか?

A1 そこは非常に重要なポイントです。そこで今回は私なりの若者へのゴルフ普及策を示したいと思いますが、その前に、前回の「高齢者ゴルファーリタイア防止」について書き残したことがありますので、この点を簡単に申し上げます。

私は、祖父母に孫の面倒を見る機会をゴルフ場で与えることができれば、高齢者のプレー継続とジュニア育成が同時にできると考えています。祖父母世代のゴルファーには、時間にゆとりがあるため、親の代わりに孫の成長を実感できることは、生甲斐になるのではないでしょうか。

その際、注意すべきは、面倒を見る祖父母と孫の双方にゴルフ習得を押し付けないで、クラブハウスを含めたゴルフ場を遊び場として利用できる雰囲気作りが大事です。日本のゴルフ場の90%は会員制クラブなので、まずは会員を対象として実施すれば協力を得られる可能性は高いはずです。

若者のスポーツ感

さて、若者とゴルフの接点づくりについて、私は「ゴルフで健康とライフスキルアップ」を提案します。

その前提として、若者のスポーツに対する価値観を認識する必要があるでしょう。東京五輪でも明らかになったように、アーバンスポーツやエクスストリームスポーツの人気が高まっています。従来の五輪競技の多くは、速さ・強さ・高さで順位を競いましたが、新規採用種目の多くが、個性的な技やパフォーマンスを採点するものとなっています。

それらの競技の実況中継では「おしゃれ」「カッコいい」「個性あふれる演技」等々の言葉が溢れています。2024年パリ五輪で新たな種目として実施される「ブレークダンス」は、DJの選曲に合わせて対戦者が即興のダンスで技の難易度や音楽との調和性を競い、審判員の評点により勝敗が決まります。伝統的な社交ダンスではなく、ストリートダンスが五輪種目になりました。

アーバンスポーツは、気軽に一人で始められ、他のスポーツとの掛け持ちも容易で、生活の中に溶け込んでいるのが特徴です。このような点を考慮して「ゴルフの魅力」を若者に伝えなければなりません。

「健康寿命の延伸」を目指す

我々は20~30代を「若者」と一言で括りがちですが、言うまでもなくヒトは千差万別です。一時「弁当男子」という言葉が流行ったように、健康のために自分でお弁当を作ってエコと節約(所得が伸びないことも要因)を図る若者がいる点も見逃せません。そういった考えの若い世代に「健康寿命」の観点でゴルフの魅力を訴求できます。

健康寿命の延伸には、若い時から適度なスポーツを継続することが重要です。無理せず長続きするためには仕事とプライベートを両立できる観点で生涯スポーツを選ぶことが大事でしょう。次のプレーを考えながら同伴者との会話を楽しむ歩行が中心のゴルフは身体的な負荷が適度で、高齢になっても続けられます。あるいは、ハードなスポーツが身体的や時間的な理由で、週1回程度の身体活動しかできなくなった人にもゴルフは最適なレクリエーションスポーツです。

厚生労働省は、生活習慣病の予防に必要な身体活動量を、週に「23エクササイズ(EX)」としており、仕事を含む日常生活だけでは3~4EX不足するとしています。この不足分を補う最適なのがゴルフで、乗用カート使用時のラウンドで約4EXの活動量が得られます。

また、スウェーデンの「カロリンスカ研究所」(医学系の単科教育大学としては世界最大)は、スウェーデン人ゴルファー30万人を調査した結果、「ゴルフ実施者は同じ性別・年齢・社会・経済的地位で、ゴルフをしない人に比べ死亡率が40%低い。この死亡率の差は、寿命にして5年に相当」と発表しています。老後が気になる若者にとって、魅力的なエビデンスといえるでしょう。

ライフスキルはゴルフで習得

現在の我が国の課題は、他の先進諸国に比較して労働生産性が低いことです。この労働生産性を改善する一つの手段として「健康経営」(身体的・精神的な健康維持)というマネジメントが多くの企業で取り上げられています。「健康経営」を推進する上で、ゴルフが有効なアイテムになりそうです。その理由は、健康維持に必要な運動量が得られ、社会人として必要なライフスキルの習得にゴルフが役立つからです。

世界保健機構(WHO)は、社会人に必要な10のライフスキルをあげていますが、関連するスキルを要約すると「自己認識スキル」「コミュニケーションスキル」「意思決定スキル」「目標設定スキル」「ストレスマネジメントスキル」の五つとなります。

ゴルフは自己の判断でプレーを選択して結果を受け入れなければならないため、「自己認識スキル・意思決定スキル・目標設定スキル」などが養成されます。また、自然の中でプレーするため、同一日のプレーでも時間帯によって天候が変化してスコアに影響が出ますが、天候変化は成績に反映されないことを甘んじて受け入れなければならないため、「ストレスマネジメントスキル」の醸成に役立ちます。同伴プレーヤーと長時間過ごすため「コミュニケーションスキル」も身に付きます。

以上のように、ゴルフからは多くのライフスキルが学べます。自然への理解、健康リテラシーの向上、内面的な成長などの魅力が盛り沢山。

以上のような魅力をゴルフ界全体で共有して啓発活動を行いつつ、個々のゴルフ場はアレンジした多様な施策を実施すれば良いと思います。

若年層へのゴルフ普及で大切な点は、前述したようにスポーツに対する若年層の価値観変化を的確に捉え、服装等についてステレオタイプ的な考え方を押し付けず、多様性を認めることです。一番大事なのは「ゴルフは楽しい」と思ってもらうことだと考えます。


この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2021年11月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。

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ライター紹介 ライター一覧

大石順一

大石順一

1949年東京都生まれ。1972年年成蹊大学経済学部後、安田生命保険相互会社(現 明治安田生命保険)を経て、1984年八王子カントリークラブに入社し、1997年総支配人に就任。2011年に一般社団法人日本ゴルフ場経営者協会専務理事就任。1997年以降、日本ゴルフ場経営者協会税労務委員長、東日本ゴルフ場支配人会常任幹事・税対策委員長として固定資産税・ゴルフ場利用税の税制見直し等を総務省と折衝。

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