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    ゴルフシミュレーターの居場所は、ゴルフ場のクラブハウスにこそあった

    小川朗
    山梨県甲府市生まれ。甲府一高→日大芸術卒。82年東スポ入社。「世界一速いゴルフ速報」の海外特派員として男女のメジャー大会など通算300試合以上を取材。同社で運動部長、文化部長、広告局長を歴任後独立。フリージャー...
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    太陽の光を浴びながら、マイナスイオンいっぱいの空気を吸い込む。ゴルフ場が持つ魅力の一つは、非日常の空間で、爽快な解放感が得られること。生物多様性も見直され、里山の役割をも担うコースの上で、心身ともにリフレッシュできる瞬間だ。そこに今、都会や自宅といった日常空間で活躍していたゴルフシミュレーターの進出が相次いでいる。ゴルフ場で今、何が起こっているのか。

    シミュレーターはラウンドの「予習・復習」にうってつけ

    (上)ザ・ゴルフクラブ竜ケ崎(下)千代田カントリークラブ(上下写真とも提供:PGM)
    国内で146のゴルフ場を運営するパシフィックゴルフマネージメント㈱(PGM)は、現在茨城の千代田カントリークラブとザ・ゴルフクラブ竜ケ崎にゴルフシミュレーターを5打席設置している。 この2コースはPGMが全コースの中でも最上級に位置付ける「グランPGM」16コースのうち2つ。実はそのグレードにあるゴルフ場だからこそ、シミュレーターを入れる必要があった。 PGM広報グループの話。「竜ケ崎にはアプローチ・バンカー練習場はあるのですが、この2コースにはドライビングレンジを作る用地がクラブハウスの近くになく、以前から『プレー前に練習したいのに』という声をいただいていました。そこでクラブハウス内の利用していないスペースを活用してシミュレーターを設置したわけです」。 これがウケた。スタート前は事故渋滞に遭遇したり、コースに着いてから忘れ物に気付いたりと、とかく予想外のことが起きてバタバタしやすい。ドライビングレンジまで離れていると、その往復時間でイライラしたり、場合によっては練習を断念する羽目になることも少なくない。 しかしクラブハウス内にあるシミュレーターであればそういうリスクも最小限で食い止められる。それだけではない。シミュレーターには多くの打ちっ放し練習場にはない利点があるのだ。前出の広報グループの話。「ゴルフゾン社製の、最新のシミュレーターです。シミュレーターのいいところは自分の正確な距離が把握できますし、今のショットがこすり球であったのか、フックしたのかも分かること。また、正面と後方からのスイング録画も見られるので、客観的なスイングチェックもできます」。 各クラブの正確な飛距離を、把握できていないゴルファーは意外に多い。ラウンド前にその日の飛距離、球筋の傾向を把握して、自分のスイングを見直すことが出来るのはありがたい。使用料は24球で550円。朝の調整にはちょうどいい球数でもある。 またホールアウト後、ラウンド中で生まれた課題を即座に修正することは上達への早道。ツアープロたちには当たり前の方法だが、アベレージゴルファーともなれば疲れもあり、クラブハウスと練習場への距離が離れていればそういう気分にもなりにくい。だがクラブハウス内にあれば、帰り際に「ちょっと打っていくか」という気分にもなる。

    ゴルフ界のすそ野を広げる役割も

    千代田カントリークラブ シミュレーションゴルフ個室(写真提供:PGM)
    実はこのシミュレーターには、別の使い道も生まれている。ビギナーにバーチャルのラウンドを体験してもらい、技術だけでなくルールやマナーも勉強してもらう。そのうえでリアルなラウンドに移行するというプランだ。建物に例えれば1階が練習場で、2階がゴルフ場とすれば「中2階」の役割を演じるのがシミュレーターという考え方。これがうまくいけば、ゴルフ人口の増大に大きく貢献できそうだ。 その大きなテーマに取り組もうとしているのが栃木で3コースを展開する鹿沼グループ。鹿沼72カントリークラブのコンペルームを改造して、シミュレーター2台の導入を決定。8月のグランドオープンに向けて準備している。 鹿沼72の場合、屋外に300㍎・20打席の練習場がある。にもかかわらず、わざわざミュレーターを導入するという。その意味は、どこにあるのか。鹿沼グループの福島範治社長がその意図を明かしてくれた。 「U35(アンダーサーティーファイブ)会員制度」を新設して、今会員が1200人います。元は500人だったのですが、コロナ禍で倍に増えました。これは35歳以下の、上達したいと願うすべてのゴルファーのためのお得な制度です。現在の実力は問いません」。 当然、会員の中にはクラブを握ったばかりのゴルファーもいる。実はその会員たちにこそ、シミュレーターの持ち味が発揮されるという。「ご希望の方には、マナーが学べるレクチャーがあります。まずシミュレーターでゴルフに慣れてもらって、コースデビューに備えてもらう」(福島社長)。 コロナ禍において、ゴルフ界で最も明るい話題といえば、30代以下の若い世代が感染リスクの少ないレジャーとしてゴルフを始めたことだが、その一方で、クローズアップされてきた問題がある。ビギナーたちにマナーと技術を学ぶ場がないことだ。いきなりコースに出たためにスロープレーとなりベテランゴルファーから叱責されたり、うまくならずゴルフの楽しさや爽快感を体感できずにゴルフをやめてしまったりするケースも少なくない。 コロナ禍の中、せっかく密にならず、開放的な空間で楽しめるゴルフの魅力に気づいてくれた若者たちが、ゴルフに背を向けてしまうのは、何とももったいない話。彼らにリピーターとなってもらうはどうしたらいいか?というのはゴルフ界全体にとって、喫緊の課題だ。
    一般客からも好評のシミュレーター(写真提供:キャメルゴルフ&リゾートCC)
    そのために、シミュレーターを使ってバーチャルなラウンドをしてもらい、技術だけでなくルールやマナーを身につけ、楽しくゴルフをしてもらおうというわけだ。 PGMでも、シミュレーターを有効活用してビギナーのコースデビューを後押しするプランをすでに導入している。「午前10時半くらいから12時までシミュレーターで練習していただき、ランチの後に最終組でスタートするプランです。後ろを気にせずラウンドできるため、ビギナーの方々にも喜ばれています」。 ビギナーに優しいプランは、ゴルフのすそ野拡大にも、大いに貢献してくれそうだ。 そういう意味では、ゴルフを身近にする役割を、シミュレーターが持っていることは間違いない。これを1歩進めて、パブリックスペースに近いところにゴルフシミュレーターがあればいいのではないか。それに近い試みを、すでに行っているゴルフ場があった。 早くからグランピングを導入し、ファミリー層のニーズ拡大に成功しているキャメルゴルフ&リゾートCC(千葉・御宿)だ。 「昨年の暮れからテスト運用をして、本格導入しました。ゴルファーはもちろんですが、宿泊客の方々も楽しまれています」(セールスマネージャーの児玉夏奈子さん)。 本館レストランの向かいに3打席設けられ、一般客も利用しているのだ。 コロナ禍の昨年、ゴルフ場入場者数は12年ぶりに9000万人台を回復、70歳未満は約7000万人(NGK調べ)で新規ゴルファーの参入も目立つ。この層をつなぎとめる役割を、シミュレーターが担う。

    ■取材後記

    1台数百万円程度と、決して安い買い物とは思えないゴルフシミュレーターだが、個人への販売が伸びている。コロナ禍の巣ごもり需要で、富裕層が自宅に設置するケースが増えているからだという▼自宅だけでなく、高齢者向けのマンションや介護施設などでもニーズが高まっている。加齢から体力が低下し、リアルなラウンドこそ難しくなったが、シミュレーターなら移動は無用。歩かずに18ホールをラウンドできるのは、高齢者にとってもうれしい。デイサービス施設に高齢者を呼び込む、大きな武器の一つにもなっている▼団塊の世代が75歳になる2025年はもう目の前。現在最もゴルフをしている人たちは70歳から75歳までの間に広く分布している。この層がごっそりいなくなったら、ゴルフ界が受けるダメージは少なくないだろう。それを最小限に食い止める手段を、早急に取るべきだ。▼シミュレーターを高齢者が使いやすいところに設置していくのも、有効な手段のひとつだが、忘れてならないのは今、増え続けている若年層のゴルファーたちだ。彼らにも、シミュレーターが使いやすい環境を整えるのもいいアイデアの一つ。今回取り上げたゴルフ場が成功例となれば、さらにシミュレーターのあるゴルフ場は増えていく。その好循環が生まれ、誰もが一度はクラブを握ったことがある環境を造れれば、ゴルフ界のすそ野は、確実に広がっていく。ゴルフ人口、まだ全体の1割にも満たないのだから、伸びしろはまだまだある。
    この記事は弊誌月刊ゴルフ・エコノミック・ワールド(GEW)2022年5月号に掲載した記事をWeb用にアップしたものです。なお、記事内容は本誌掲載時のものであり、現況と異なる場合があります。 月刊ゴルフ・エコノミック・ワールドについてはこちら
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