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  • 月刊GEW 6月号でゴルフ業界の「円安事情」を特集

    コロナ自粛の時間で考える ゴルフの仕事はこう変わる

    片山哲郎
    1962年8月3日生れ。月刊誌GEW(ゴルフ・エコノミック・ワールド)を発行する(株)ゴルフ用品界社の代表取締役社長兼編集長。正確、迅速、考察、提言を込めた記事でゴルフ産業の多様化と発展目指す。
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    ゴルフアパレルメーカー、スタッツの片山良二社長はコロナ禍で翻弄された一人。1、2月は中国など各国のサプライチェーンが寸断され、発注した商品の納期遅れが懸念されたが、今はまったく逆の状況だとか。供給先の小売店、特に多くの百貨店が自主休業に入った結果、 「受注会で成約した商品は納品しましたが、追加分は小売り側の受け入れが難しく、生産しないほうがいいと判断しています」 先々月までは納期遅れにやきもきし、今は商品がないほうがいいという。翻弄というのはその意味だ。 同社の主力ブランドは『カミーチャースポルティーバプラス』で、コンセプトは「大人のラグジュアリー感漂うゴルフウエア」というものだ。価格はパンツ1万5000~2万円、ウエアは1万~1万5000円が中心で、百貨店や高級路線のゴルフ場(太平洋クラブ等)を販路としてきた。 ところが一連の影響で、新たな生き残り策を考える必要が生じてきた。コロナ自粛のさなかにあって、片山社長、真剣に次の一手を探るのだ。そこで閃いた答えが面白い。 「ゴルフアパレルを『仕事着』にしたい。そこに活路を求めます」 どういったことか? 「コロナの影響でテレワークが進んでいます。するとビジネススーツの需要が減り、『街着』が注目されるはず。とはいえルーズな普段着で仕事をするのは抵抗があるから、やり方によってはゴルフウエアが代替できると考えたのです。 ゴルフウエアならではの機能性やラグジュアリー感を訴求して『仕事着にゴルフウエア!』とPRすれば、チャンスはあると思います」 ゴルフウエアには多彩な機能が満載だ。吸湿速乾やuvカット、動きやすい縫製やストレッチ性、あるいはシャリ感といったように快適な肌触りも備えている。デザインも、ビジネス用として十分通用するから、ゴルフアパレルより遥かに大きな市場に打って出られる。 同氏は元々ワールドの出身だけに、紳士服事情に通じており、それも発想の背景にあるはずだ。 コロナ→テレワーク→ゴルフウエア→仕事着の四段論法。他のゴルフアパレルメーカーも追随すれば、新たな市場確立となるかもしれない。

    チャンス到来で「3K」払拭

    緊急事態宣言が全国に拡大された4月はゴルフ用品市場も急降下。売上半減のショップも多く、コロナの収束が見えない中で市場には濃い霧が漂っている。 が、意気消沈しているところばかりではない。マスク不足で中国依存を脱しようと、多くの異業種がマスクを国内生産し、素材も国内で作るなど「メイド・イン・ジャパン」が加速中。ゴルフクラブの生産にも同様の動きが見えはじめた。 昨年、日本に輸入されたクラブは371万4266本、そのうち中国製は297万564本で8割を占めたが、今春はコロナで大混乱。チャイナリスクを嫌気して、国内回帰の兆しがある。 その恩恵を受けそうな1社が栃木県のササキで、いわゆるOEM工場だ。既に大手数社のクラブを下請けで一貫生産しているが、 「中国に頼らない生産体制の構築は、この国の課題だと思います。ゴルフクラブも同じなので生産強化に努めたい。具体的にはキャパアップ、コストダウン、納期のスピード、人材育成です」 佐々木政浩社長はチャンス到来を前にして、緊張感を漂わせる。それは、国内回帰を背負う緊張だ。 これを実現するためには「3K」イメージの払拭が不可欠だという。いわゆる「きつい」「きたない」「危険」というものだが、佐々木社長は具体的な施策を打っている。 「今年2月下旬、品質マネジメントの国際規格であるISO 14001と環境マネジメントシステムのISO 9001を取得したのです。特に前者の『14001』は、3Kと言われる製造業において従業員が働きやすい環境を実現するもので、優秀な人材の確保につながると思っています」 国際規格の取得は、3Kイメージの払拭に向けた覚悟の表れといえる。 その文脈で同氏はイメージの重要性を指摘する。一時、接待ゴルフに依存したゴルフ界はその反省から、個人需要を促すポケットマネーゴルフの下地作りに注力したが、接待ゴルフを否定するのではなく、呼び方を変えればいいと考える。 「接待ゴルフを『コミュニケーションゴルフ』に変えて、業界全体で訴求することです。そうすれば昔のイメージが払拭されて、より幅広くゴルフを利用してもらえると思います。要はイメージの問題でしょう」 コロナ自粛の時間にあって、そんなことも考えている。

    無償提供でスクールを支える

    アナザーショットゴルフという会社がある。オンラインレッスンなどゴルフスクールを運営するためのシステム提供が主業務だ。 「ところが、コロナの影響で室内のゴルフスクールは休業状態。退会者が相次いで、当社の新規営業も止まってしまった」 佐々木光英社長は嘆く。そこで同社の機能を無償提供して、スクールの支援に乗り出す構え。 「多くのスクールが退会者の増加を食い止めようと、オンラインレッスンや自宅でできるドリル動画の配信に注力しています。当社にはオンラインレッスン動画のやり取りができる機能があるので、これの一部無償提供を決めました」 簡単にいえば、同社にはスクール運営の基幹システムがあり、予約、オンラインレッスン、電子カルテをクラウドで提供。その機能の一部を提供するものだ。この分野ではトップシェアで、ブリヂストンスポーツ直営のインドアスクールや有賀園ゴルフ杉並店が同社のカルテを導入している。 「クラウドサーバーのソフトを利用するため、新たなソフト開発が必要なく、導入コストを下げられます。一連のシステム名は『AGSスクール』で、月額利用料は5万円。5月末まで一部の機能を無償で提供します」 濃厚接触を避けるため、各所でオンラインスクールが広がっている。簡便なのは、練習場のスクールが休止となり、職を失ったレッスンプロがスマホで動画配信するなどだが、これ以外にも大学の体育授業でゴルフの「オンライン講義」を採用するなど、eスクールは今後のカギになりそうだ。 コロナ禍で無償提供を決めた佐々木社長、スクール支援とシステムの普及を一気に進める考えだ。
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