1. GDO×じゃらんゴルフが連携強化、その狙いとは?

GDO×じゃらんゴルフが連携強化、その狙いとは?

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GDOゴルフ場ビジネスユニット ソリューション部 箕輪創部長(左)、リクルートライフスタイル「じゃらんゴルフ」梅澤理プロデユーサー(右)

ゴルフ場の作業効率を向上、集客率アップで市場を活性化

インターネットで、ゴルフのワンストップ・サービスを展開するゴルフダイジェスト・オンライン(以下GDO)と、(株)リクルートライフスタイルが運営するゴルフ場予約サービス「じゃらんゴルフ」がこのほど連携を強化。これまでのスタート枠の一部共有に加え、ゴルフコース情報の共有など、さらに一歩踏み込んだ相互連携に踏み切った。

GDOゴルフ場ユニットソリューション部箕輪創部長(画像:左)と、リクルートライフスタイルで「じゃらんゴルフ」を展開する梅澤理プロデューサー(画像:右)が対談。2人は、ゴルフ場側の活性化を前提とした柔軟なシステム設計導入により、ゴルフ場数やゴルフ人口減少に歯止めをかけたいと意気込む。

―2社はまず、平成27年3月に、ゴルフ場ネット予約市場の拡大を見据え提携に踏み切った。

箕輪 GDOの事業におけるサービスの一つの、ゴルフ場予約とじゃらんゴルフが平成27年3月より両社が提携し約300コースに関して、予約時のスタート枠の一部共有を開始しています。

これは、相互のユーザーに対し、これまで以上に多様なプランを提示し、ゴルフ場の予約が取りやすい環境を提供することで、両社の特性を活かしながらゴルフ場送客数の伸長を目的としていました。今回の連携強化の中身は、スタート枠の共有のみならず、両社の提携するゴルフコース情報(合計1600コース)を共有し、これら提携ゴルフ場に対して共有に必要なプラットフォームをGDOが提供します。

梅澤 ゴルファーは、これまで以上に多様なプランの中から自身の希望に合ったプランを選択、予約することができるようになります。

―GDOゴルフ場予約及びじゃらんゴルフのユーザーの利便性の向上が主な目的?

箕輪 ゴルファーの利便性向上とゴルフ場の事務オペレーションの軽減を目的としています。ゴルフ場に共通プラットフォームを提供することで、業務負荷を軽減し、結果、ゴルファーに提供されるサービスの質・量の向上というメリットとして現れることも狙いとしています。

梅澤 さらに、両社が得意とするターゲットを絞った効率的なマーケティングを行うことが可能となり、それぞれの特性を活かした集客を行うことができると考えています。

インターネット予約は全体の2~3割が利用

―ネットでゴルフ送客事業を展開する企業は両社以外にも楽天GORA、ALBA.net、バリューゴルフのほか、PGMとアコーディアゴルフが独自で行っている。ネット予約の年間利用者数は?

箕輪 公式な統計データがないので、あくまでも予測値ですが、インターネットを利用してゴルフ場予約をされる方は、全体の20~30%と我々は想定しています。そこをシェアしている状況です。

―ビジネスモデルは?

箕輪 大半のポータルサイトが、ゴルフ場へゴルファーを送客し、一人当たりの送客手数料を完納してもらうシステム。例えば、Aコースへ客単価×送客人数をポータルサイト側がゴルフ場側へ請求し、入金されるという流れになります。

ただ、GDOとじゃらんゴルフはメディアサイトでもあるので、ゴルフ場へ広告販売もしています。

―それぞれの事業開始年月と利用者数及び属性は?

箕輪 GDOは、2000年2月にゴルフ場送客事業を立ち上げ今年で18年目に突入。現在、国内外合わせ約2000コースまで拡大しています。年間利用者数については、2016年のプレー人口約8900万人(ゴルフ産業白書)のうち約6%の送客シェアを持っています。

予約代表者の観点からいうと、男女比は9:1で男性の利用者が多数を占め、年齢は30~60代が中心で、これ以外では10代、20代よりも70代の構成比が高いのが現状です。ゴルフを始めた年代であろう40代、50代と時間とお金に余裕のある70代がボリュームでここ数年、この傾向は大きく変化していません。

特記事項としては、20代、30代の利用率の伸びが大きくなっている点が挙げられます。その分70代以降の利用者が減少傾向です。

梅澤 じゃらんゴルフは、後発で2013年に参入し、今年2月で5周年を迎えました。2000年より宿泊予約サイトの「じゃらんnet」がスタートしましたが、宿泊予約だけではなく、お客様に幅広い旅行サービスを提供していくことの一環として、じゃらんゴルフを始めることになりました。

当社では、「ネット化」と呼んでいますが、ゴルフ場予約はまだまだ電話予約が主流。今後は宿泊サイト同様に「ネット化」が進むと思われます。

―じゃらんゴルフの属性は?

梅澤 メインのゴルファーは、GDOさんとさほど変わりません。また、リクルートサービスを利用しているユーザー、例えば「ホットペーパービューティー」の会員である若年層の女性なども利用していることが特徴的です。

―GDO×じゃらんゴルフの最初の提携は2015年でしたが、当時の提携内容と狙い及び目的とは?

箕輪 当時の状況を振り返りますと、我々のサービスはすでに成熟していましたが、競合他社含めオリジナル(限定)商材率というのが今よりもっと強かった時代でした。占有商材を取ってきて、サイトで販売することで実際の数字はそれなりに上がるものの、ゴルフ場の要望や収益を満たすまでの販売数に至っていない状況でした。

一方で、我々が持っている商材を売り切らねばならない。提携はまさにそのタイミングでした。

梅澤 当時は、じゃらんゴルフをスタートして3年でしたので、新規営業を進めていました。

箕輪 我々からじゃらんゴルフさんへ商品を提供することで、リソースという部分を有効活用すると同時に、予約在庫の販売力が上がると考え、まずは300コース弱から連携させることからスタートしました。

梅澤 GDOさんのアセットを活用させてもらいながら、じゃらんゴルフの在庫を増やす。ここが提携に至った大きな要因です。

―じゃらんゴルフのメリットは?

梅澤 ゴルファーに対して、これまで以上にゴルフ場予約の選択肢を増やしていける、ということが大きいですね。

競合同士が提携、その中身とは?

―そして今回、さらに踏み込んで提携を行っている。

箕輪 2年前は在庫の共有化をすることからスタートしましたが、様々なケースを経て検証してきた結果、お互いだけなくゴルフ場にもメリットが生まれると判断しました。

今回からどこのゴルフ場で、どんな料金でポータルサイトへ販売するか、つまりプランや料金についても基本的に同じ商品がそれぞれのサイトに表示されるようにデータ連携を強化し、対象コースも約1600コースへ拡大しています。そのために、ゴルフ場の業務オペレーション(管理画面)の共通化まで踏み込んでいます。

―具体的には?

箕輪 ゴルフ場側は当社の管理画面に入力すると、じゃらんゴルフにも同時に掲載されるようになりました。

―ゴルフ場側は一度の入力で済むから手間が省ける。

箕輪 その通りです。従来は別々の管理画面でしたが、1本化することにより、2社の予約進捗状況についても一目で把握できるようになりました。

梅澤 やはり、ゴルフ場のメリットが大きいのではないでしょうか。現場では日々接客対応に追われる中、各ポータルサイトの管理画面からそれぞれプランを入力しています。今回の提携により、一回の作業でGDOとじゃらんゴルフのサイトへ掲載できるようになったことで、業務効率の向上は明白です。ゴルフ場は接客に時間を割くことが可能になり、ゴルファーに対するおもてなし向上にもつながります。

―GDOとじゃらんゴルフは競合同士ですよね?

箕輪 冒頭でも触れましたが、ネット予約市場はまだまだ伸びると考えていますが、全体の3割程度しか獲得できていません。また、送客手数料を成果としてもらう立場からすると、ゴルフ場数は現在約2200コースで年々減少傾向にあり、かつ人材難に喘いでいます。業務効率が行われないまま集客に奔走すれば、本来行うべき業務に支障が出てきますよね?

我々がネット化を推進することで、ゴルフ場にもチャンスが生まれますよ、という世界観を描き、かつ、単体で遂行するよりも2社で進める方がスピード感や価値も高まります。

―その先は?

箕輪 ゴルフ場への集客力&環境が整えば、競合として戦うところは戦いますよ(笑)。そのためにもまずはインフラ作りが重要です。

―ゴルフ場側のリスクは?

箕輪 ありません。ただ、ネット化の推進=送客コスト増(ゴルフ場の負担増)だけでなく、セットで業務効率化の価値を提供する必要があり、そのうえで我々2社以外のポータルサイトの連携も将来的には視野に入れていきたい。

―昨年10月、提携強化がスタート。具体的な成果は?

梅澤 具体的な数値は申し上げられませんが、ゴルフ場側は“効率”が見える化してきたという声を頂いています。

―スマートフォンからの予約率の状況は?

箕輪 アプリを含めると半分ずつですね。

梅澤 当社が運営している他サービスと比較しますと、スマホ化率はそこまで進んでいないと思います。理由の一つとしてゴルファーの年齢層が高いからです。ただし、ゴルフ場のネット予約については、まだまだ伸びると考えていますのでスマホからのネット予約は可能性を秘めています。

―そこでのキモは?

梅澤 我々がサービスをより使いやすいものに磨いていくことでしょうか。

―スマホから派生する新しいビジネス展開は?

箕輪 あらゆる可能性を模索しながら、競合の予約サイトであるじゃらんゴルフとパートナーシップを組んだ経緯がありますので、ゴルフ場の作業効率が主ですが、そこから派生するビジネスチャンスはあると考えます。

―例えば?

箕輪 ITテクノロジーを駆使しながら別の形での支援も可能になる。予約という枠に収まらず、現場では人がオペレーションしているわけですから。

梅澤 ゴルフ場は、他のマーケットよりも変化がとても遅く、テクノロジー化が進んでいません。他ではすでに機械的にやっているものを、ゴルフ場は未だに人がやっていることが多いです。

この部分は、2社で提携することにより、広がりを見せることができるのではないかと思います。価値とバリューをきちんとと提供していくには、1社単体で考えるよりも進めやすいのではないかと考えています。

―現状の問題点について。

箕輪 販売サイトは同じですが、サイトポリシーがそれぞれ違うので、使ってはいけないワードが表示されたり・・・。今後、どちらかのサイトへ寄せていく作業が急務で、直近の課題でもあります。

潜在層を囲い込め、インバウンドにも期待

箕輪 ゴルフ場側の作業効率化の大きな目的は、1の作業で2にするのではなく、2・5とか3へ持っていくこと。潜在層など新規ゴルファーの獲得も命題です。

梅澤 そうですね。ゴルフ人口は年々減少しており、本質的にゴルフをする人を増やしていかないといけません。業界全体の課題で、声高に叫ばれているものの、具体的に何をどうしていくのか? 我々ポータルでもまだまだやれることがあるはずです。

今までのポータルサイトは、「ゴルフをプレーする」というニーズのあるユーザーを囲い込み、ゴルフ場へ送客してきました。今後は、「ゴルフをやりたい」という潜在層へ働きかけ、1人でも多くの人にゴルフをプレーしてもらうという取組みが2社の使命であると考えています。

―「ゴルマジ!」で活性化する?

梅澤 期待しています。「ゴルマジ!」は若年層のゴルフ人口を増やすために19歳、20歳のみゴルフ場のプレー料金、ゴルフ練習場の料金を無料にし、ゴルフプレー機会を若者に提供していきます。将来のゴルファー人口を増やすために業界と一緒に引き続き取り組んでいきたいと思います。

―若年層以外の囲い込み策は?

梅澤 訪日外国人旅行客が年々増加しており、ゴルフの需要増加も期待できます。このマーケットにも目を向けていき、少子高齢化が避けられない中、訪日外国人に対しても取り組みが重要になってくると思います。

一方、テクノロジーで解決するものに関しては、まだまだ介在余地があります。例えば、ゴルフ場の受付業務は近い将来、テクノロジーで代替できるようになると考えています。予約数が増えても、作業効率が落ちない仕組みを作っていくことで、3年、5年後のマーケット拡大は見込めるのではないでしょうか。

急務は「ゴルフのあり方」をどう変えるか

―自動運転技術もすぐそこまできている。

箕輪 インフラが整うまでにはもう少し時間がかかるでしょうが、高齢ゴルファーがゴルフをやめる要因のひとつが車の運転です。でも、体は健康なんですね。ゴルフ場へ足を運ぶ環境作りも急務で、アナログですが、バス送迎も視野に入ってくるでしょう。ネット予約事業者が協同便を運航して、各ゴルフ場を経由して送客すれば、車の運転免許を持っていない人やジュニアも行きやすくなる。

ゴルフって車がないと出来ないイメージが強いですが、我々はネットを軸として両論で推し進める。そのひとつが、自動運転かもしれないですし、5年後に形になってくるのであれば、新しいサービスを提供していかなければならない。

梅澤 ゴルファーは年々減少している中において、便利なサービスを追求して実現しても、人口が下げ止まらずにゴルフ場が減少していっては、いくら便利なサービスがあっても業界の発展にはなりません。

ゴルフ業界全体として考えるべきは便利なサービスではなく、何世紀もゴルフというスポーツが次の世代にバトンを渡していけるようにすること。そのためにゴルフのあり方をどう変えるのか、業界全体で真剣に議論すべき必要があると考えます。

(聞き手、構成:GEW浅水敦)

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浅水敦

浅水敦

1971年東京生まれ。(株)明光商会入社後、7年半シュレッダー&ボイスコールの営業(外務省、宮内庁、旧富士銀行を担当)を経て
1997年(株)ゴルフ用品界社入社。本誌及びWEB広告営業&編集、クライアントのビジネスマッチング、JGGANEWS編集委員などに従事。
ゴルフ業界歴20年のベテラン記者。2003年取締役、2009年常務取締役、2017年1月専務取締役。

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