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  • 片山晋呉謝罪会見の「質疑応答」を動画と解説記事で深掘り

    片山哲郎
    1962年8月3日生れ。月刊誌GEW(ゴルフ・エコノミック・ワールド)を発行する(株)ゴルフ用品界社の代表取締役社長兼編集長。正確、迅速、考察、提言を込めた記事でゴルフ産業の多様化と発展目指す。
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    「質問が全部終わるまでやります」――。 片山晋呉の「プロアマ問題」について、日本ゴルフツアー機構(JGTО)は6月27日に都内ホテルで謝罪会見を行った。実はこの日、JGTОは会場を3時間借りており、すべての質問が終わるまで対応する準備を整えていた。また、前日夕刻までは会見の生中継を「冒頭の10分程度」とする可能性もあったが、結果的には午後5時過ぎから7時までの約2時間、すべて中継可能とした。 これにより組織の透明性をアピールするほか、男子プロに事の重大性を認識させて「プロアマ改革」を一気に進めたい意図が伺える。その意味でエンドレスの「質疑応答」は、JGTОの覚悟を披歴する場となった。 34社98名の報道陣を前にJGTОは何を語ったのか。本誌の質問を中心に、質疑応答の模様を動画(4本)と解説記事を交えて掲載しよう。登壇者はJGTОの青木功会長、石川遼副会長(選手会長)、野村修也理事(中央大学法科大学院教授・弁護士)、佐々木孝悦事務局長、片山晋呉の5名。 なお、調査委員会メンバーの野村理事は、一方の当事者である招待客(A氏)についての質問を、会見に同席してないなどを理由に受け付けないことを付言した。

    経緯はともかく「不愉快」が問題

    本誌は、5月30日のプロアマ当日、A氏の叱責を受けた片山が、その場でどのような印象を受けたかについて質問した。また、JGTОが6月6日に青木会長名で「公式謝罪文」をリリースした翌日、石川副会長が選手会長名で同じく謝罪文を出したことについて、「選手会理事会」の合意を得たかについても聞いた。 仮に合意がなければ、石川選手会長の独断となり、のちに選手会内部で問題化する可能性もあるからだ。となれば、ファンサービスを率先する新会長の立場が弱まりかねず、改革の後退も懸念される。その点を明確にしたかったもの。 次にフジテレビが次の3点を質問した。青木会長が片山に伝えた厳重注意の言葉、石川選手会長は問題発覚後、片山とどのような会話を交わしたか。また、A氏が途中でプレーをやめて帰ったときの「片山本人の心象」を尋ねている。これについて片山は「他の同伴プレーヤーと同様、どうしたんだろう」と、A氏の行動が理解できなかったと答えている。 会見では上記のほかに、複数の質問が行われた。片山は今回の事態の「重み」を問われ、「トーナメントプロとして自粛を発表していることが一番の重みであり、裁定を受け入れたことが一番の気持ち」と話している。 JGTОは5月30日のプロアマ終了後、トーナメント規程15条に則り30万円の制裁金を科し、記者会見当日の夕刻に「厳重注意」をしているが、片山はこれを「素直に受け止めたい」と答える一方で、 「20年以上プロアマに出ているが、アマから苦言を呈されたことは一度もない」 と、今回も普段通りだったことを繰り返し述べた。これに対して野村理事は、高いホスピタリティが求められる現代において、片山にその認識がなかったこと、また、招待客から過去に苦言を呈されたことがなかったことについては、「ファン心理として片山に苦言を呈すことは難しく、そのことに甘えてきた」と反省を求めている。

    森ビルへの配慮が謝罪を急がせた?

    本誌は今回のケースについて、調査結果がまとまる前の「公式謝罪」(6月6日)は、スポンサーへの過度な配慮が理由ではないかと指摘してきた。未確認段階での謝罪は憶測を呼び、混乱に拍車を掛けた面も否めない。それでも敢えて踏み切った背景に、スポンサーへの強すぎる配慮が透けて見える。 スポーツイベントが多様化する現代、国民の「可処分時間」をゴルフに向けるのは至難の業だが、これを実現しなければ本質的な成長は難しい。そのためには過度なスポンサー依存から脱し「ファン優先主義」に舵を切る必要がある。 その一例に、2014年から始まった「ダンロップ・スリクソン福島オープン」がある。同大会は東日本大震災の復興支援を意図したものだが、一方では賞金総額5000万円(ツアー最低額)の「小規模大会」のモデルケースが期待された。このような大会が増えれば、男子プロとファンが交流する接点が増え、各地にゴルフ文化を根付かせる原動力になるからだ。当時JGTОの会長だった海老沢勝二氏は本誌の取材に対して、 「ほかにも希望があれば同額の大会を増やしたいし、数年以内にトータル30試合が目標です」 と語っていたが、現状、賞金総額1億円未満の大会は「福島オープン」と「関西オープン」(7000万円)の2試合のみ。「福島オープン」は県の「プロ会」が地元企業の協力を仰ぎ、チケット販売等に注力するなど地元密着型として成功している。大口スポンサー頼みとは一線を画し、「自立」の道を歩んでいるが、この路線を強化する施策は見えてこない。 男子ツアーの1試合当たり平均賞金額は1億4000万円で、女子ツアーの9800万円に比べ4割増し。2億円以上の大会も6試合ある。トーナメントの運営コストは賞金総額の4倍程度が一般的だから、「2億円大会」の冠スポンサーの負担額は8億円ほど。今回の「日本ゴルフツアー選手権」は1億5000万円で、負担額は6億円と推算できる。 JGTОにとって大型スポンサーは大事な存在だが、ここへの営業に集中すると地元密着の小規模大会に意識が向き難くなる。実際、第二、第三の「福島オープン」が登場する予定は今のところない。 その上で本誌は、「早すぎた」謝罪の背景には冠スポンサーである森ビルへの過剰な配慮があったのではないかと質問した。また、発覚から謝罪文をリリースするまでの1週間にどのような経緯があったのか。併せて過度なスポンサー依存から「自立」する方策も尋ねている。

    選手会の合意は得られた?

    最後に石川選手会長に再度、質問した。片山は史上7人目の永久シード選手だけに、ツアーメンバーへの影響力は大きい。仮に重い処分が下されていたら、選手会とJGTОの間に溝が生じる不安もあった。この点に関する懸念と、会長名で6月7日に謝罪文をリリースしたことについての経緯、心情を併せて聞いた。 JGTОは賞金の3%をトップオフとして徴収、運営コストに充てることから「選手の稼ぎ」に依存する面が大きい。そのため選手の声が反映されやすい組織でもある。仮に選手間で「片山がここまで責められる問題ではない」「過剰反応ではないか」との空気が強まれば、早期に謝罪文を出した石川の勇み足と言われかねない。以下はこれに対する石川選手会長の回答だ。 以上、記者会見のポイントを記事と動画で要約した。 片山晋呉は「今後のゴルフ人生の糧にしたい」と結んでいるが、これまで様々な振る舞いが問題視されてきただけに、今後、積極的にファンサービスに取り組めば他のプロの模範となることも期待できる。 また、別の視点で注目されるのは、この記者会見にJGTОが強い姿勢で臨んだことだ。広報部は「ほぼ時間無制限」の会見を設定し、片山の登壇も比較的早い段階で決めたなど、機構執行部の意向が反映された形。機構と選手の「綱引き」において、前者が主導権を握る事例となった。 残念だったのは、質疑応答に際してゴルフメディアからの質問がほとんどなかったことだ。大半は新聞、テレビ、通信社からの質問に終始して、ゴルフ界の視点で問題を探る「専門誌」ならではの姿勢が欠如していた。大手メディアが片山バッシングを強める中、総花的な批判ではなく、ゴルフメディア独自の見解を披露する絶好の機会だっただけに、消極的な姿勢は存在意義を問われかねない。 いずれにせよ、今回のケースは単なるゴシップではなく、男子ツアーやゴルフ界が抱える様々な問題点を浮き彫りにしている。これらを丁寧に洗い出して、解決する努力が求められる。 片山晋呉プロアマ問題関連の記事はこちら
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